年齢逆転パロですよ!

これは雲雀17歳(高2)、イーピン27歳(院1)のお話になります。

苦手な人はUターンしてください。

まんぷく、がんぷく』の続きのお話になっています。

読んでいなくてもそれほど差し支えはありませんが、そちらを読んでからの方がわかりやすいかと。


おkな方はスクロールでおすすみください。↓↓↓













































ものの見事にクリーンヒットした枕。
それくらい避けるのかと思っていたのに、まさか顔面キャッチするとは。

けれど「大丈夫?」なんて聞いてあげない。
すぐに調子に乗ることはわかっているから。
のけぞっている間にさっさと着替えを済ませてしまおう。
着替えかけのTシャツをかぶり、揃いのズボンに足を通す。
最後にフリース生地のパーカーを羽織ればゆったりのんびりくつろぎスタイルの出来上がり。

「なんだ、もう着替えちゃったんだ」
「どこかの誰かさんのおかげで」
「ほんの数ヶ月前までは人の目も気にしない格好していたくせに」
「だって、ヒバリ君変な目で見るんだもん」
「そりゃぁ、好きな人が目の前で据え膳な格好してたら見るでしょ?オトコノコですから」
「そーゆーことを口に出しちゃうあたりが可愛げ無いんデス」

例えば、うっかりそういう場面に出くわしたとして。
思い切り動揺して、頬でも真っ赤に染めながら勢いよく視線を逸らしたりするなら可愛い反応だ。
『そーゆー格好やめてよね!!』と羽織るものを突き出すでもいい。
気づいていない振りを装い、でも気になってちらちら視線をやってしまうとかも初々しいと思う。

しかしこの子の反応といえば、だ。

ガン見。
ひたすらガン見である。
照れもてらいも無く、真正面からガン見するような子なのである。

(それって・・・・・・どうなのかしら・・・・・・?)

正常かどうかはこの際置いておくとして。
何ともこの子の今後が心配になる。

や、確かに思春期の男の子を前にしてあられもない格好を晒している私も良くないのだろうけれど。
でもここは私の家なのだ。
ちょっとくらい開けっぴろげたって罰は当たらない!・・・・・・と思う。

「イーピンサンは食べないんですか?恵方巻き」

分かりやすく、邪なことを考えてる笑みを浮かべたヒバリ君。
・・・・・・やっぱり、ちょっといろいろ考え直さないといけないかもしれない、かな・・・・・・?
ニヤニヤと笑う顔を、とりあえず一端無視してビニール袋ごと引き寄せる。
ん?
二種類の恵方巻きを頼んだはずで、そのうちの一本はすでにヒバリ君のお腹に収まっているはずなのに、どうしてこんなにガサガサしているんだろう。
中身を取り出してみる。

「あれ?なんでお豆さん入ってるんかな?ヒバリ君買ってきたの?」
「は?君が買ってきたんでしょ?袋の中に入ってたよ。そっちのお面も、コンパスも」
「あ〜〜、じゃぁあの子がおまけで入れてくれたんかな?」

そもそも、私はこのようなイベント事には大変疎い。
自分で豪語してしまうくらい疎い。
一企業の策略によって近年広まったものは特に、だ。
私がまだ並盛に居た10年ほど前には、そんな風習無かったと記憶している。

そんな私がこうして恵方巻きなどという近代イベントアイテムを購入したのは、友人の頼みだったからだ。
そうでもなかったら、私はこのようなイベントの存在すら知らずに2月3日を迎え、「明日は立春かー」なんてのんきに考えていたことだろう。

友人はコンビニでアルバイトをしている子。
そこではこうしたイベント関連商品を一人何個売らなければいけないというノルマがあるのだそうで。
楽々軒では無縁の話だが、バイト先に良く食べに来てくれる恩もあり、お返しにノルマ達成に協力する事にしている。
クリスマスのケーキだったり、節分の恵方巻きだったり、土曜の丑の日だったり、イベント事には事欠かないのだからコンビニバイトも楽じゃない。

「友達に頼まれて買ったんだけど、逆に悪いことしちゃったかな・・・・・・?」
「いいんじゃない?そう言うのは素直に受け取っておけば」
「そう、かな?」

それほど高いものじゃないし、ここは好意に甘えるとしよう。
今度お店に来てくれたときには、こっそりドリンクサービスしてあげよっと。
心の中で友人に感謝しながら、私はコンパスを取り出して方角をチェックする。

えっと、今年の方角は北北西?
確か本来は24方位で表すところを、日常的に使われている16方位で表現するようになったせいで本来向くべき方位からはずれているって言ってたっけ。
正しくは壬(みずのえ)。
北北西からちょっと右に傾いたくらいだと、専攻の子が教えてくれた。
こういうものをあまり信じている方でもないので、適当でいいと言えばそうなんだけど。
折角教えて貰ったことを無碍にするのも悪い気がするので、その辺はケース・バイ・ケースってことで。

方位を確認したので早速恵方巻き退治に取りかかる。
・・・・・・結構重い・・・・・・。
なんか、年々太くなっている気がするのは気のせい?
えぇい!ひるんでられるか!
目を閉じて、私は勢い良くかぶりつく。

「むぐっ!」
「お〜、いい食べっぷり」
「ぬ・・・・・・んぐ。む、・・・・・・っ」
「いい眺め」
「・・・・・・・・・」

外野の声は、極力気にしない方向で。
しかし、目を閉じて願い事をしながら食べるって、実は相当なテクニックがいるんじゃ無いかしら?
恵方巻きって以外と食べにくいし、気づいたら海苔が割れて中身がぼろぼろこぼれてしまうことも多々ある。
私は願い事とかは無いから、ただ無心に食べるだけでいいけれど・・・・・・。
だいたいにして喉に詰まるのよ!
あぁ!
えっと、飲み物は途中で飲んでもいいんだっけ?
一息で食べるのならだめなのかな?
うぅ〜口の中がぼそぼそで食べにくい〜!

手で持った感覚で、ようやく半分が過ぎたあたりだと検討を付けた。

(あと半分・・・・・・っ!!)

口の中がいっぱいで眉間に皺が寄ってい居るのを自覚。
きっと今、酷い顔しているんだろうな・・・・・・あはは。
もきゅもきゅ頬張って残りもがんばって租借する。
そんな私のことを見ているであろうヒバリ君は、きっとろくでもないことを考えているんだろうな、なんて思っていた矢先。

「ね、イーピン知ってる?」
「・・・・・・」

答えられない状況だとわかっていて質問してくるヒバリ君は相当に意地が悪い。
どんな表情をしてるのか、目を瞑っている私にはわからないけれど、まぁ、想像はつく。

「恵方巻きって、遊女にフェラ顔させるために始めた大尽遊びの一つなんだってね」
「・・・・・・」

ほら、ね?

「太くて黒くておっきいのを懸命に頬張ってる顔、すごいそそるよ」
「・・・・・・」

きっと、ニヤニヤしているんだろうな。

「ね?美味しい?」
「・・・・・・」

聞いてどうするって言うのよ。

「そうことするの、好き?」
「・・・・・・」

そんなこと聞いて楽しい?

「ねぇ?イーピン」
「・・・・・・」

私は、つまんないよ。

「どうしたの?」
「・・・・・・」

あぁ、なんかもう・・・・・・

「何か言ってよ?ねぇ?」
「・・・・・・」



嫌になっちゃう。



「・・・・・・男って・・・・・・みんな考えることは同じなのね・・・・・・」

小さな声で漏らす。

「何?」
「なんでもない!」

詰め込んでいた巻き寿司は後4分の1くらいになっていたが、私は口を離して、話してしまう。
だとしたら、目を瞑っている理由も今更だろう。
閉じていた目を開け、大口を開けて残りを一気に詰め込んだ。
無茶な量を詰め込んでいると、自分でもわかっている。

それでも、やりきれない感情の矛先を誰にぶつけることも出来ないから、こうして自分に当たるしかないのだ。

無理やりに押し込んだから、喉に詰まった。
げほごほむせ返る。
慌ててビールで流し込むけど、そうしたら咥内の味覚はしっちゃかめっちゃかで残念極まりないことになる。
折角買ったのに、勿体無いことをした。

「・・・・・・なんか、怒って、ます、カ・・・・・・?」

えらく愁傷な態度で、片言で話すかのような文節でヒバリ君。

「・・・・・・別に」
「・・・・・・怒ってるじゃない・・・・・・」
「怒ってないっ!」

そう言いつつ、恵方巻きと一緒に入っていた炒り大豆の袋を勢いよく開封。
中身を引っつかんで投げつけた。

「いっっ!?いきなり何するわけ!?」
「うるさいうるさい!元はといえばヒバリ君がエッチなことばっかり考えてるからいけないのよ!」
「何それ言いがかりにもほどがあるよ!!」

黙らせるためにもう一掴み投げつける。
パラパラと、部屋のあちこちに散乱する豆。
掃除するの誰だと思ってるのよ。
ちょっとは考えなさいよ、自分。
冷静に訴えかけるもう一人の自分にもむしゃくしゃして、力いっぱい投げつけた。
高々豆ではあるけれど、打ちつけられれば痛い。
肉体に当たったわけでもないのに、どうしてかイタイ。
そんな気がして、昂ぶった感情が落ち着きを取り戻す。

あぁもう本当嫌・・・・・・。
まるで子供じゃない・・・・・・。
大人で、子供で、分けわかんない・・・・・・。

「ね・・・・・・、どうしたわけ?」
「・・・・・・ゴメン、八つ当たりした・・・・・・」

そうだ。
ヒバリ君が悪いわけじゃないのに。
ヒバリ君にぶつけたって、仕方ないのに。


ましてや、彼が悪いわけでもないのに。


「僕はその八つ当たりの理由を聞いているんだけど?」
「・・・・・・ゴメン・・・・・・」

私はまだ、ソレを言葉に変換するだけのものを持ち合わせていなかった。
ただ、馬鹿みたいに「ゴメンね」を繰り返すことしか出来なかった。
涙が出ないのは、私が馬鹿な大人になってしまったからだ。
私は、一体なにをやっているんだろう。
何がしたかったんだろう。

「ね、イーピン。今じゃなくていいからさ・・・・・・」

真面目な顔でヒバリ君。
私の隣に座って、私の手を取る。

「いつか、君を苛んでるモノの名前、教えてくれる・・・・・・?」

私は、返す言葉すら見つけられなかった。






悪い鬼はどこ?








ヒバピン年齢逆転パロで節分話後編。

一度書き上げたものの、思うところがあってこの話の後半を書き直した。

一応『まんぷく、がんぷく』からの続きになってます。

読んでなくても大丈夫ですが。

話がもにょもにょ〜〜な方向に動き出しました。

頭ん中にはこれでもか!ってくらい設定が飛び交っているんですが

イーピンの過去について書けるのはいつになることやら・・・・・・

ゆるーりまったりお付き合い願えれば幸いです。

2012/02/04




※こちらの背景は NEO-HIMEISM/雪姫 様 よりお借りしています。




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