久しぶりにヒバリさんが帰ってくる。
嬉しくなって、掃除も料理も気合いを入れてがんばってしまった。
草壁さんから「空港に着いた」と連絡が入った時間から逆算して、後十五分くらいで着くだろうか。
「まだかな・・・・・・」
なんだかそわそわする。
実に三ヶ月ぶりだ。
意味もなく髪を撫でつけ整える。
気になって何度も掃除にも料理にも不備がないことを確認してしまう。
大丈夫。
完璧だ。
加えて、ビアンキさんから教えて貰った言葉を脳内で唱える。
ばっちり覚えている。
後はヒバリさんが帰ってくるのを待つだけ。
──ピンポーン
チャイムが鳴る。
ヒバリさんだ!
慌てて玄関に走る。
つまみを回し、チェーンロックも外して扉を開け放つ。
「ヒバリさん!お帰りなさい!」
「ただいま」
三ヶ月前と変わらない、いや、ちょっとだけ髪が伸びたヒバリさんがそこにいた。
「あの、ご飯にしますか?お風呂にします?それともわ・・・・・・」
「風呂。汗掻いた。気持ち悪い」
「・・・・・・」
「何?」
「あ、いえ・・・・・・何でもないです」
折角ビアンキさんに教えて貰ったけど、言う間もなく出番終了。
仕方がない。
ヒバリさんはこういう人だもの。
ちょっとだけ残念。
「君も」
「はい?」
私の変化を敏感に感じたのか。
意地悪するような。
誘うような。
「一緒に入る?久しぶりだし」
そんな色を浮かべた視線をヒバリさんが投げて寄越す。
「じゃあ、一緒に」
照れくさいけれど、はにかんで答える。
二人で収まるには狭い浴槽で身を寄せ合った。
たわいもない言葉を交わす。
逢えなかった間の話をする。
すっかり体も暖まった頃。
掠めるようなキスを一つしてくれた。
久方ぶりに感じるヒバリさんの体温。
「続きは、また後で、ね」
耳元で囁く。
甘い甘い響きを含めて、ヒバリさんが言う。
その言葉だけで、私の頭はのぼせ上がりそうになる。
ゆっくりと一度だけ、コクン、と頭を縦に振った。
私はなんて幸福なのだろうかと、改めて幸せを噛みしめた。
甘美な甘味
思いつくままを書き連ねただけ。
ちょっとは甘い感じになった?
どうよ?(←お前が聞くな)
2012/05/06
※こちらの背景は
NEO-HIMEISM/雪姫 様
よりお借りしています。