「お前さぁ、ツナのこと好き?」









深層心理







……何くだらねぇこと聞いてくんだ、コイツは
たりめぇじゃねえか
俺は十代目一筋なんだよ
このタコ野郎が

日の落ち始めた住宅街
熱気を放出するアスファルト
鳴き止まない蝉の声

「てめぇにゃ関係ねぇだろ」

ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てる
別に十代目への想いを隠したいわけじゃない
ただ単に質問に素直に答えるのが癪だから
もっと言えば山本と言葉を交わしたくもない
十代目への想いを山本に汚されたくもない
誰も知らなくていい
何よりも神聖なこの想いは、俺だけが知っていればいい
十代目にすら告げるつもりのない想い
それを山本に教える道理がどこにある

「答える義務なんてねぇ、とっとと失せろ」
「それともさー」

ひとの話聞けよ

「お前が好きなのって“十代目”?」

何度も同じことを聞くんじゃねぇよ
暑い
うぜぇ
つか
何でコイツ付いてくんだよ
家反対だろ
あぁ、何もかも癇に障る

男が男を好きになって悪いか
寝ても覚めても十代目だよ
心底十代目を愛してるよ
文句あっか
俺は十代目が大好……


あれ?


ふと感じる違和感
言葉のひずみ
気持ちのゆがみ

何でコイツ『ツナ』と『十代目』って言ったんだ?
『沢田綱吉』は『十代目』で、『十代目』は『沢田綱吉』だろう?

何故分けた
何故区別した

『沢田綱吉』は『十代目』ではなく、『十代目』は『沢田綱吉』ではないとでも言いたいのか
そんなはずはない
『沢田綱吉』が『十代目』だから俺はあの人に出会い
『十代目』が『沢田綱吉』だから俺は彼を好きになった


いや。違う


自身が自身を否定した

『十代目』が『沢田綱吉』でなければならない必然性などどこにもない
『沢田綱吉』が『十代目』だから出会ったことは事実
『十代目』に命を助けられて
『十代目』に惚れて
『十代目』に命を捧げる覚悟をした

けれど

俺が『沢田綱吉』を好きになる理由にはまだ足りない

足が止まる。
感じるのはとてもとても嫌な暑さ
日の落ち始めた住宅街
熱気を放出するアスファルト
鳴き止まない蝉の声
体中から噴き出す汗
握りこんでいた手のひらが湿っている
今日は暑い
確か天気予報では今夏最高気温になると言っていた
なのに
悪寒がする
震えが走る
この嫌な予感が外れていればいい

もしも
もしもだ
考えたくもないが
『十代目』が『沢田綱吉』でなかったとしても
俺は『十代目』をすきになったのではないだろうか

俺が好きなのは『十代目』であって『沢田綱吉』ではないのか
そんなこと
あるわけない
(本当に?)
俺が好きなのは
(沢田綱吉?)
俺が好きなのは

「十代目……」

嘘だ
まやかしだ
コイツに俺の何がわかるって言うんだ
解ったような口きくんじゃねぇ
コイツが俺の持つ矛盾を知ってるはずがない
俺すらも知らなかった矛盾を知っているはずがない

「……おい、てめぇ何が言いたい……」

三歩ほど後ろを歩いていたはずの山本の背中が目の前にある
俺に見えたのはあいつの背中だけ

なのに

確かに

にやりと笑う山本の顔がそこにはあった









おい、てめぇ何が言いたい!!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

獄寺の台詞はきっとさかきに対してのツッコミですよ。一体何なんだこの文は?


山獄です(殴/全国の山獄ファンに謝れ)

正確には山獄に至る前提条件といいますか前振りなので全然カプっぽくないです。

そもそも山獄ってどう絡むんですか?(爆)

絡ませ方がさっぱりわからんのです。

寧ろ十代目を差し置いて山本を好きになる獄寺が想像できなくて自分なりの設定を作ったのがコレです。



獄寺が愛していたのは『ツナ』ではなく『十代目ボンゴレ』の肩書きを持つものだと指摘する山本。

根拠と確信があった。

獄寺の眼は愛するものに向けるそれではなく、

山本がもっと小さい頃に憧れのプロ野球選手に向けた羨望の眼差しと同じだった。

獄寺自身も気付いていない心内を知り、どうにか自分を意識させたい純情山本。

『お前の恋は偽物だ』と獄寺を動揺させて掻っ攫おうとする腹黒山本。

山本大好きです。



獄寺はこの後自分の気持ちが整理できずに山本に助言でも求めればいい(願望かよ!)

山本は適切なアドバイスで自分の株を着実に上げればいい(妄想)

んな事をやっている間に獄寺の中で 十代目→大切 山本→好き とかになれば晴れて山獄だ!



ともかくこれで山獄が書けそうです。

え?誰も読みたくないって?

失礼しやしたー。

2005/某日





※こちらの背景は NEO-HIMEISM/雪姫 様 よりお借りしています。




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