「君がここで倒れても僕は立ち止まらないよ」
「歩みをゆるめることもしない」
「ましてや、倒れた君に手を差し伸べたりしない」
「それでも来たいたら、勝手についておいで」
「今引き返せば、平穏で安穏な生活に戻れるよ」
「命のやりとりなんて野蛮なことのない、血臭と銃声と無縁の世界」
「それこそ君が望んだ世界だっただろう?」
「それでもついてくるの?」
in place
今ここで貴方が手を差し伸べていたら、私は自分の未熟さを謗り、貴方を諦めていたでしょう。
貴方が初めて見せる上っ面の優しさに、自分の限界を見、貴方にふさわしくないと自ら悟り、身を引くこともできたでしょう。
けれどあなたはそれをしなかった。
ただの一度
私に事実を語りかけただけ
それだけで私はまた前に一歩、歩けてしまうのです。
素っ気なく
冷徹とすらとれる貴方の態度の裏には、いつも貴方の優しさがあることを知っている。
誰に理解されなくても、私はそれを理解している。
私だけに向けられた優しさを、私だけは知っている。
だから
私は貴方を諦めきれないのです。
この恋は盲目なんかじゃない。
私を理解してくれる貴方だからこそ、私は貴方を追いかけるのです。
追いかけて
追いかけて
いつか貴方の隣に並ぶために。
だから
どうかその日まで私を振り返らないでください。
いつか私の力で追いついてみせるから。
無用の優しさなんて貴方らしくないから。
振り返った先になんていたくない。
貴方と同じところを見て歩きたいから。
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今ここで
立ち止まって振り返って「大丈夫?」と優しい言葉を投げかけて、倒れ込んだ君に手を差し出す。
そうすれば君はきっと僕を諦めることもできたんだろうね。
自分の未熟さを痛切し、世界の隔たりを感じ僕を諦めただろう。
僕が初めて見せる上っ面の優しさに、自分の限界を知り、心優しい君は笑顔で身を引けたのだろう。
けれど僕はそれをしなかった。
ただの一度
彼女に事実を語りかけただけ
その言葉だけが彼女の心を奮い立たせる唯一のものであると知っているから、僕は期待をしてしまうんだ。
きっと這いつくばってでも、死に体でも、瞳だけには光をともして前進する君を。
他人から見れば
素っ気なく
冷徹とすらとれる僕の行動。
全く傲慢だ。
彼女の未来を考えたら、こんな世界に身を投じさせる必要なんて有りはしないのに。
僕は彼女に期待しているんだ。
盲目などではなく、自らの頑固たる意志のもとこの道を辿ることを。
今じゃなくていい。
いつか僕の隣にいることを。
僕を理解してくれる君だからこそ、僕は君にそばにいてほしいんだ。
小さな体躯で懸命に
一歩一歩僕に近づいておいで。
君が望む君になれるよう
僕は君を決して振り返らない。
それを君が望まないから。
前だけを見て
君が辿るべき道を僕が示してあげる。
いつか君の力で追いつけるように。
無用の優しさなんて僕らしくないだろう?
振り返った先に君にいてほしいんじゃない。
君と同じところを見て歩きたいんだ。
いつだったか冒頭のような夢を見たので文章化してみた。
倒れたイーピンに辛辣な言葉を投げかける雲雀。
選んだ道は厳しいものでも
それが何よりも優しい言葉だってお互いに知ってる、って感じがいいなぁって。
タイトルの『in place』はあるべき場所と言う意味。
居たいと思うのも、居て欲しいと思うのも君の隣。
2009/03/27
※こちらの背景は
NEO-HIMEISM/雪姫 様
よりお借りしています。