このお話は、『邂逅記念日』で書けなかった
10年後の雲雀さん視点のお話となっています。
ですので、未読の方は先に『邂逅記念日』をお読みになってからご覧ください。


バッチこい!という方はスクロールでどうぞ。
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秘密話







突如として彼女は煙に包まれてしまう。
彼女の腕を掴んでいたはずの僕の手が、急に空を掴んだ。
この現象。10年バズーカだ。
あのボヴィーノの牛柄の子が誤射したに違いない。
泣き虫なのは10年たっても変わらないのだ。
ここで悪態をついても始まらない。

「仕方ないね」

ため息混じりにそう言いながらも、唇の端が上がってしまうのを自覚する。
それはそうだ。
イーピンが煙に包まれたということはやってくるのは10年前のイーピン。
幼い彼女に逢うなんて、一体いつぶりなのだろう。
女性らしい体付きに成長したイーピンも綺麗だがあの頃のイーピンも可愛いかった。
骸あたりに知れたらどんなからかいを受けるかわからないのでひた隠しにしているが、
ここ数年で自分が小動物好きだと自覚した。イーピンにちょっかいをかける悪い虫のランボですら、実のところなかなか気に入っていたりもする。
彼女との二人の時間は邪魔されたものの、思わぬ贈り物を貰うことになるとは。
今度逢ったらお菓子くらいはあげておこうかな。

そうこう考えているうちに腕にわずかな重量を感じる。
あの頃の君はこんなにも小さかったんだね。
懐かしい。
さぁ、早く僕にその姿を見せてよ。


すっかり煙が晴れると、イーピンはぱちくりと瞬きをした。
続けて抱きかかえられたままの自分の姿を見てあたりを見回す。
(状況がまだわかっていないみたいだね)
仕方ない。
10にも満たない子供にタイムスリップを理解しろと言ってもそれは無茶な注文だ。
わからなくってもいいんだ。
ただ君に逢えただけでいい。

「好久不見」(久しぶり)
「誰?」(誰?)
「我是云雀恭弥。隔了好久。小的羿大頭針」(僕は雲雀恭弥。久しぶりだね。小さいイーピン)
「知道我的事?」(私を知っているの?)
「知道喲。如果是你的事不管什麼都知道」(知っているよ。君のことなら何でもね)
「你是我的什麼?」(あなたは私の何なの?)
「我?」(僕?)

イーピンはこくりとうなずいた。
なんと答えたらよいのだろうか。
昔赤ん坊に釘を刺されたことがあったからな。
『もしも過去から来た奴に逢っても、10年後の情報を与えるな』と。
僕と10年後の彼女との関係を教えることもやはりはばかられる。
これが原因で過去や未来に影響を及ぼさないとも限らない。

「僕は君の恋人だよ。イーピン」

もっとも、まだ先の話だけどね。

赤ん坊に止められているとは言え、この位は許されるだろう。
僕に出来る最大の譲歩。
この頃のイーピンには日本語は聞き取れないはずだ。
せっかくこうして君に逢えたのに何も伝えられないなんて悲しすぎるからね。
予想通り、イーピンは突然の日本語に意味を捉えきれず頭上に?マークをいくつも飛ばしている。
イーピンは『是多麼説的?』と僕にせがんでくるけどこれ以上は話すわけにはいかない。

「秘密喲」(秘密だよ)
「為什麼?」(どうして?)
「因為你的未来是的東西。我不能告訴的喲?」(君の未来は君のものだからね。僕が教えるわけにはいかないんだ)
「我的未来・・・?」(私の未来・・・?)
「是那様。你的未来。現在還不是應該知道」(そう。君の未来。だから今はまだ知るべきじゃない)

唐突にイーピンの身体が再び煙に包まれた。
もう5分経ってしまったんだ。

「在你里能見很高興喲」(君に逢えて嬉しかったよ)
「・・・・・・」
「又游玩气味儿」(また遊びにおいで)

「愛喲。羿大頭針」(愛しているよ。イーピン)

僕の最後の言葉と共に、幼いイーピンは姿を消してしまった。
代わりに姿を現したのは見慣れた体躯のイーピン。

「お帰り」
「あ、ヒバリさん。ただいま」

にこりと笑う少女。
10年の月日で見違えるように成長した彼女は、するり猫を思わせるしなやかさで僕の腕から抜け出した。

「10年前のあたし、どうでした?」
「可愛らしかったよ」
「やだ、嫉妬しちゃいますよ」

この語学も成長の証。
僕と話をするために日本語を覚えたと言っていた。
そして僕は片言の彼女に日本語を教える傍ら、彼女に中国語を習った。
今では中国語を使うこともほとんど無いけれど二人ともバイリンガル。
・・・いや、加えて彼女は大学で語学を専攻するために英語もマスターしてしまったからトライリンガルだ。末恐ろしい。

「もっとも、君は僕の事がわからなかったみたいだけどね」
「そりゃそうですよ。ヒバリさんに出会ったばかりの時ですから」

当たり前だと言うようにけらけら笑う。

「そうなの?」
「知りたいですか?」
「その口ぶりからすると、過去で僕に逢ったみたいだね」
「はい!」

10年前の僕か。
中学生の頃の自分など思い出したいものではない。
若さゆえに手当たり次第に周りのものをぶち壊していた頃。
自分を表現する手段を持たない幼い自分。

「出逢い頭に殴りかかったってとこだろう」
「さすがヒバリさん!自分の性格がわかっていますね」

皮肉でも何でも無く、本心からの言葉だろう。
いちいち傷つくような年齢でもないけどいい気分にはならない。

「それで君のことだから手合わせしたんだろ?」
「もちろん」
「結果は」
「お互いに一撃も決められずタイムアップでした」

そういえばそんなこともあった気がする。
あの時彼女はなんと言っていただろうか?
たしか・・・・

「もう少し時間があったら私勝てたと思うんですけどね。
 あの頃のヒバリさんはまだ一般人くらいしか相手にしたことなかったでしょう?
 だから戦い方とか割と隙が多くて」
「じゃぁ、今から再戦してみる?」

イーピンの手を絡め取る。
ねっとりと、視線で嘗め回す。

「あ・・・・・いや・・・・」
「僕に勝てるって思ったんでしょ?」
「・・・それは・・・・10年前のヒバリさんであって・・・・・、その・・・」
「君は僕のものなんでしょ」
「えっ!?・・・・なん・・・・・っん・・・!!!!!」

驚嘆の声に蓋をするように。
イーピンの唇を塞ぐ。
突然のキスに更に驚いたのか、身を引こうと抵抗するが逃がさない。
後頭部に添えた手が、指を絡め取る手が、彼女の抵抗を無効にする。
角度を変え、何度も唇を啄ばむ。
その間も引き寄せる力を緩めることはしない。
力ではどうにもならない体格差を認識したのか、彼女から抵抗の力が抜けた。
ひとしきりキスを仕切ったところでようやく唇を開放してやる。

「勝負の結果は?」

僕は意地悪く問い尋ねる。

「・・・・・完敗です・・・・」

顔を真っ赤にしたイーピンはうつむき加減に答えた。

「じゃ、行こうか」
「・・・?どこに・・・っきゃぁ!な!何するんですか!?」

肩の上に抱き上げた彼女が悲鳴に近い声を上げる。
傍から見ればさながら人攫いに見えるかもしれない。

「敗者が勝者に従うのが道理でしょ」

にたり

「・・・・そ・・・それって・・・・」
「ここでしたいというなら僕は構わないけど?」

僕が何をするつもりなのか彼女も理解したようだ。
ばたばたと手足を振り乱してていこうするが功を奏さない。

「ヒバリさん!ほら、まだこんなに日も高いことですし!!」
「君の顔がよく見えるでしょ」
「勉強もありますし!!」
「たまには休憩も必要でしょ」
「・・・・拒否権は・・・?」
「あると思う?」
「・・・・・・・・・・いいえ・・・・・・」
「それじゃ、ベットルームに行こうか」

僕に勝とうだなんて100年早いよ。









というわけでお送りしましたヒバピン第二段。

もうなんてゆーかごめん。

他のマンガにうつつ抜かしてたら喋り口調わからんくなった。

雲雀がただのロリコンになってしまったようだ。

まじごめん。

代わりといっては何だけどさかきにしては珍しくキスとかしてみたよ。

てゆか、この人既にお手つきしてる模様。

わぉ!

雲雀さん!犯罪すれすれってゆーかぎりぎりアウトだよ!!



雲雀と子ピンの会話は中国語にしてみました。

翻訳機に突っ込んだだけなのでちゃんと訳したら変な文になること必至。

どんな話をしていたのかはあえて秘密で。

そんなにたいした内容は喋ってないので雰囲気だけ味わってくださいな。

2008/07/24





※こちらの背景は 空に咲く花/なつる 様 よりお借りしています。




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