嘘で遊ぶ -雲雀side-
嘘にまみれた4月1日。
あちらこちらで飛び交う笑い声に嘆き声。
エイプリ―ルフールにもてあそばれる生徒の声が廊下に溢れている。
まぁ、僕はそんなものに躍らされてあげるほどお人よしでもないけど。
「委員長、今日の風紀取締りは?」
「面倒だからやらなくていいよ」
今日はどこに行っても嘘つきばかりだから埒が明かないしね。
無駄な働きはしたくないもの。
それに―――
「楽しみだと思わない?草壁」
雲雀は肩越しに窓の外に視線を投げる。
視線の先には校門。
さらにその先。
薄茶色の髪を振り乱して駆け込んでくる影。
新学期早々遅刻ぎりぎりなんて、先が思いやられるね。
きっと彼は校舎の入り口に僕が待ち構えてると思って大慌てなんだろうけど。
残念ながら誰もいないよ。
そんなところ探したって誰もいないってば。
「・・・楽しみとは?」
「遅刻と思って登校してきた生徒を泳がせておいて、放課後点数引きに行くのさ」
彼の間抜け面が手に取るように分かる。
それが見られるのなら嘘にまみれた今日という日もあながち悪いものではないと思える。
なんてったって今日はエイプリールフールだからね。
エイプリールフールに踊らされるのは趣味じゃないけど。
「人を踊らせるのは嫌いじゃないんだ」
雲雀さんはきっとイベント事を大切にする人だと思う。
誕生日には菖蒲湯とかにちゃんと入るイメージ。
でもハロウィンとかエイプリールに遊ばれるのは
性格的に嫌うんじゃないかなと。
ただそんなのを書きたかっただけ。
2008/04/01
※こちらの背景は
NEO-HIMEISM/雪姫 様
よりお借りしています。