.


足りない




「っ・・・ン・・・っはぁ・・・・ぁ・・・・」

噛み付くように唇を奪えば、返されるのは胸を押し返す抵抗と、酸素を求めて漏れ出る息遣い。
このまま続ければ本当に酸欠で倒れかねないから、一端唇を解放し、耳朶を甘噛み。

「ひゃぁぁあっっ!な、な、な、何するんですかぁっ!?!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」

色気の無い悲鳴が上がるが、それでも僕は解放するつもりなんてさらさらない。
耳介をぐるり形取り、次いで中に舌を這わせた。

「や・・・・・ひば、りさん・・・ゃぁ・・・・・」

顔を真っ赤にして身を捩る。
嫌悪感からか、快楽からか、それとも別の何かのためなのかは判断つかなかったが、小刻みに体が震えているのは感じ取れた。
フルフルと首を左右に振って見せたのは拒絶の印なのだろう。
仕方ないから耳を攻めるのはやめることにする。
代わりに首筋に頭を埋め、チュ、ときつく吸い上げ、ひとつ紅い華を咲かせた。

「・・っ・・・!」
「・・・・・・まだだよ・・・・」
「・・・え・・・・?」

返事の代わりにもう一度口付け。
軽く接触させ、舌で唇を舐めとった。

「こんなんじゃ、まだ君が足りないんだ・・・・・」

どんなに愛しても、愛しても、まだ足りない。
もっともっと、君が欲しくて堪らないんだ。

「もっと・・・・君をちょうだい?」

あぁ、返事はいらないよ。
だって初めから。
イエス以外受け付けるつもりなんて無いから。






雰囲気えろてっぃっく!

イチャイチャさせたかっただけ!

あ、別に強姦まがいとかではないですよ。

念のため。ヒバピンはお互いにラブラブがデフォなんで。

2010/04/11



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。










.


近づく




「もっと・・・・・君をちょうだい?」

彼の言葉に、脊髄に甘い痺れが走った。
もっと欲しいのは、私も同じ。
だって私は貴方が好きで、好きで、好きで、好きなんだから。

「ひば・・・・・んんっ」

返事を返す前に、再び唇が塞がれた。
私の言葉なんて必要としていないかのように。
それとも貴方には言わなくてもこの想いが伝わっているの?
そうだとしても、それはずるい。
私だって・・・・言葉にして、形にして伝えたいのに。

「んふっ・・・・・は、あ、・・・・ひばり・・・さ・・・」
「黙ってなよ」
「・・・・や、ですっ!」

力いっぱい彼の胸を押し返した。
コレくらいじゃ力の差は如何ともしがたくて、彼の拘束は緩んだりはしないけれど、塞がれたままの唇を解放させることは出来た。

「・・・少しは私の言葉も・・・聞いてください」
「・・・・・・拒絶する?」

皮肉っぽく笑って応えた。
わかってるくせに。
私が拒絶しないことくらい。
拒絶したって力ずくでやり込めようとするくせに。
そんなことをしたって、傷つくのは貴方なのに。
貴方が手に入れたいのは、体じゃなくて、心でしょう?
だったら、少しは人の言葉を聞け。

「拒絶なんて、しません」
「うん」
「私は、ヒバリさんが好きですから」
「そう」
「だから・・・・・」
「だから?」

彼が私の目を覗きこむ。
ほんの少しだけ期待と、不安を孕ませて。
私の言葉を待つ。

私はバクバクと脈打つ心臓をどうにかこうにか無視をして、彼にされたように耳朶を甘噛みしかえす。
身長が足りないからうんと背伸びをして。
どうにか貴方に釣り合う様にいきがって。
耳元でそっと囁く。

「私だって・・・・・・まだ貴方が足りないんです」

もっとください。
もっともっとあげますから。
貴方が満足するまでいくらでも。
だから、一人よがりに進めようとしないで。
貴方がそうなように、私も、貴方が好きなのだから。


「・・・・・そうだね・・・ごめん・・・・」

ぎゅ、と背中に回された手に力が込められた。

ほら。
私たちの距離はもっともっと近くなれる。
二人の間に想いがあるから、いくらでも歩み寄れる。
ひとつに溶けてしまえるくらい、近くに行ける。






ぷらとにっくらびゅーん。
イチャイチャさせられて満足である。
エロは同意の上がいいです。はい。
2010/04/11



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。










.


罪と罰




今更だ、といわれるかもしれないが。
この子を抱くことに抵抗が無いわけじゃない。
両手を使っても足りないかもしれない年の差は、思っている以上に行為の妨げになる。
ソレが行きずりの阿婆擦れならともかく。
愛しくて恋しい相手なら、気にするなと言う方が無理な話だ。
口でどれだけ言っても、その絶対的な時間差は埋まることは無い。
近づけば近づいた分だけ、その差はより一層明確に鮮明になって二人の間に横たわる。

背徳感、というのだろうか。
同意の上なのに、まるで罪を犯しているような錯覚。
そう、そんなものただの錯覚なのに。

「私だって・・・・・・まだ貴方が足りないんです」

神聖な領域を侵していく感覚。
侵させて行く感覚。
純粋無垢なこの子に、こんな言葉を言わせること自体が罪の証。

「・・・・・そうだね・・・ごめん・・・・」

誰に対しての、何に対しての謝罪だったのか。
それは誰にもわからない。
彼女にも。
僕自身にも。

この罪は、誰のものだろう。
彼女を手に入れたいと思う僕のものか。
拒否せずに受け入れた彼女のものか。

「僕と・・・・・堕ちてくれる・・・・?」

甘い、甘い誘惑。
きっと、彼女は拒まない。
彼女の胸にあるのは、僕と同じもののはずだから。

「・・・・・喜んで・・・・」

罪を誰かに擦り付けようなんて思わない。
二人で堕ちるところまで堕ちてやる。
この罪は二人の罪。
ならば。
罰を受けるのも二人。

快楽という堕落の罰を、二人で心行くまで享受しようじゃないか。






流石の雲雀さんも、ピンに手を出す時にはいろいろ考えるんだよ!
ふと冷静になった時の、自分たちの関係性の犯罪チックさに愕然としていればいい。
2010/04/12



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。










.


手加減




この人は加減というものを知らない。
何につけても極端だ、と私は思う。

なのにどうしてこんな時ばかり。
温い愛し方をするのだろう。
こんなやり方、貴方のスタンスじゃないのに。
壊れ物を扱うようなやり方は、貴方には似合わない。
原因が私にあるのもわかっている。

私が、まだ子供だから。

でもそれは仕方が無いこと。
私だって好き好んで10年も遅れて生まれたわけじゃない。
そんなことを理由にされたら私はどうしたらいいの?
この10年を埋める方法を私は知らない。
私にあるのは、貴方を好きだという感情と。
貴方となら、どこまでも堕ちていけるという確信。

戻れなくてもいい。
貴方を愛せるなら。
だから、貴方も愛して?
こんな温いやり方じゃなくて。
貴方らしく。
我儘に。
横暴に。
奪い取るくらいの強引さで。
私の全てを奪ってくれて構わない。
私は、あなたにそうされることを望んでいるの。

「・・・・ひ、ばり・・・・さん・・・」
「・・・・何・・・?」
「私は、・・・・大丈夫・・・・・ですから」

そんな簡単に壊れたりしない。
ガラス細工のお姫様じゃないんだから。
決して、乱暴にして欲しいわけじゃないけれど。
貴方を感じたいと思う気持ちは本当だから。
こんな気遣いはいらない。

「ヒバリさんの、好きな・・ようにして・・・・ください・・・・・」
「・・・ピン・・・・」
「大丈夫ですから」

余裕なんて無いのに、無理して笑った。
怖くない、と言ったら嘘になる。
慣れない行為は羞恥心と恐怖のせめぎ合いだ。

でも。
大丈夫。
きっと、受け止められる。

「大丈夫、です」
「・・・・そういうことは、あんまり言わない方がいい」
「?」
「男は獣だ、って聞いたことない?」

既に最後の理性を振り払った獣が、一匹。

そう。
そのほうが、ずっと貴方らしい。
手加減なんて、貴方には似合わない。






・・・・うーんと、行為中?

直接的な表現は一切使ってないので注意書きとかもしてないです。

どこまで致しているかは皆様のご想像に御任せしますww

2010/04/12



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。










.


年の差




無駄なことだと思っても。
この10年と言う膨大な時間の差を恨んだことはある。
まったくもって意味の無いことだとわかっているのに、それでもせずにはいられなかった。

ただ、今なら少しだけ、この時を許せそうな気がする。
きっと、意味があるのだ。
10年と言う時間には。
未だ僕たちが気づかないような理由が。
いつになったら気づけるのかもわからないが。
それでもきっと、意味がある。

だから僕たちはこうして互いを求めて、愛し合える。

まるで、10年の埋め合わせをするかのように。

決して埋まることの無い時間を埋めるために、いつまでも愛し合える。

「良かったね」
「・・・?・・・・・何が・・・ですか・・・・?」
「なんでもないよ」

わからないなら、わからないままでもいい。
そもそも君は、気にしていないんだろうから。
だけど、僕は気にするよ。
年の差なんて、気にするためにある。

「好きだよ。ピン」
「私も、好きです。ヒバリさん」

気にして、気にして、気にした分だけ。
君をもっと愛していこう。

体現させた形として、今一度イーピンの唇に口付けを落とした。






『年の差なんて気にしないためにあると信じている』と銘打っていたこの御題シリーズ。

気にするためにあるようです(苦笑

面と向かってイチャラブされると全身むずかゆい!!

今回好きとか愛してるとかを書きすぎた!

自分の文じゃないみたいだ。

2010/04/12



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。

※ウィンドウを閉じる※