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ありふれた日常




いつもと同じように眼が覚めて。
開ききらない眼を擦りながらリビングへ。
扉をくぐると鼻をくすぐるコーヒーの香り。
少しだけ苦い大人の味。
私は苦手で、まだブラックでは飲めない。
でもその芳醇な香りが瞬時に脳を活性化させてくれる。
ドリップ仕立ての黒色の液体がカップに注がれればその香りはより一層引き立つ。

「おはようございます。ヒバリさん」
「あぁ、おはよう。ピン」

君も飲む?
そんな表情でサーバーを掲げるのでハイと返す。
コーヒーの準備をしてもらっている間に私は部屋のカーテンを開ける。
窓も大きく開くと朝のすがすがしい空気が吹きぬけた。
今日も快晴。いいお天気。

「入ったよ」
「はい」

プレートに乗った2組のソーサー。
一つはブラックで。
もう一つはミルクと砂糖たっぷりのカフェオレ。
後者はもちろん私仕様。
先にソファに腰を下ろす貴方は右によっていて。
貴方の左が私の定位置。
淹れ立てのカフェオレを一啜り。

「今日も美味しいです!」
「そう。良かった」

すると貴方は子供にそうするように、私の頭をやさしく撫でるの。
そのまま貴方は新聞を読み始め。
私は嬉しいような恥ずかしいような気持ちで少しだけ顔を伏せる。


そんな、ありふれた日常。
変わらない、ささやかな幸せ。






日々のちょっとしたことが幸せに思えることが一番の幸せ。

さかきはヒバピンに夢を見すぎなのかもしれない(笑)

雲雀のピン呼びは仕様です。

某サイト様でこの呼び方を見てきゅんとなったので

微力ながらピン呼びを推奨して行こうとやってみた。

普段はピン。

大切なときはイーピンって呼んだらいいと思うよ。うん。

2009/01/18


※こちらの背景は ミントblue/あおい 様 よりお借りしています。









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愛しい人




ソファで横になる小さな体。
もぞもぞ身をよじっているのは少しだけ寒いからなのかもしれない。
その子にはまだまだ大きい僕の学ランをそっと掛けてやる。
ぬくもりに誘われるように彼女はくるっと学ランに包まった。
それはまるで猫のようで。
思わず僕は顔をほころばせる。

初めて知った、守りたいと言う気持ち。

壊すことしか出来なかった自分が、同じ手でもってかき抱こうとした小さな体。
その眼は幼いながらも強い意志を帯びていて。
弱いばかりに群れているのではないと感じた。

10年後の姿で僕の目の前に現れた彼女。
しなやかな肢体から繰り出される技は格段に鋭さが増していて。
瞳に宿る意志はより確かなものになっていた。

そのとき僕は悟った。
彼女は強いからこそ群れているのだと。
強いゆえに群れ、また群れるゆえに強いのだと。
何かの為に力を振るう彼女は酷く美しい。
その美しさを、いつまでも見続けたいと思った。

だから守ってやりたい。

弱いからじゃなく、強いから。
この僕と対等に渡りあえる唯一の存在だから。
君と共に居たい。

これが愛おしいということ。
暖かくて。
優しくて。
それでいて、少しだけ恥ずかしい。
こんな人間らしい気持ちを教えてくれたのは間違いなく君なんだ。

「ありがとう」

きっと面と向かっては素直に伝えられないから。
愛しい君が夢の中でこの言葉を聴いているといいな。






やっぱりさかきはヒバピンに夢を見すぎていると思うよ。

無性に恥ずかしくなって砂吐くかと思った。

子ピンを甘やかすヒバも良いですが

小さいながらも対等に子ピンを扱うヒバ様も好きです。

2009/01/18


※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。









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嘘つき




「私、ヒバリさんのことが大嫌いでした」

笑顔で。
とても綺麗な笑顔で君はそう言った。

その笑顔が涙を携えていたことを君は知っているだろうか。
言葉を口にした瞬間の震えた肩を君は知っているだろうか。

「僕も君のような子は大嫌いだったよ」

これから先、君を振り返ることは出来ないから。
せめて今だけは僕が涙を拭ってあげる。
頭ひとつ分違う細身の体を胸に顔をうずめさせた。

これが最後だ。
君をこの胸に抱くのは。
顔を上げれば僕等に待つのは別れだけ。

君がこのままずっといてくれたらいいと、そんな浅ましい考えが頭をよぎる。
そんなこと不可能だ。
わかっているから二人で選んだ道なのに。
わかっていながら。
まだ、諦めきれないでいる。



「それでは、お元気で」
「君もね」

「「さようなら」」

僕等は互いに嘘をついた。
ソレはこの世で最も優しい嘘。

いつか、嘘が嘘になる日を夢見てついた約束の嘘。






雰囲気小説。

お互いが好きだから別れるってこともありなんじゃないかなって思って。

好きだから「大嫌い」って言って。

好きだから「さよなら」を告げた。



互いが嘘だと解ってついた嘘は何よりも真実に近いのかな?なんてね。

何言ってるのか良くわからなくなった(殴

2009/01/31


※こちらの背景は ミントblue/あおい 様 よりお借りしています。









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描く夢




例えば、昔の僕ならなんと答えただろう。
強い奴と戦いたい。
全ての群れている奴等をかみ殺したい。
結局そんなところだろうか。




例えば、昔の私ならなんと答えただろう。
早く一人前になりたい。
お師匠様に逢いたい。
そんなことばかり考えていたように思う。





例えば、今の僕等ならなんと答えるだろう。

『二人で幸せになろう』

きっとそう答えてくれるはずだ。

一人で見ていた夢を二人で見よう。
儚いばかりのこの世界だからこそ
二人で明日を見に行こう。






今までになく短い。

ぱっと思いついて3分で書いたよ

二人で見るからこそこの世界には価値があるって思ってたらいいな。

『二人で』って思えるようになったところが成長だね。

2009/02/05


※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。









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お菓子




「委員長、お茶が入りました」
「うん。そこ置いておいて」
「お茶請けはラ・ナミモリーヌのショートケーキで本当によろしかったのでしょうか?」
「悪かったね、わざわざ買いに行ってもらって」
「いえ・・・・・委員長のご命令とあらば」
「もう下がっていいよ」
「・・・・はい」

音を立てないように静々と草壁が応接室を出て行った。
疑問、だったのだろう。
普段は日本茶ばかりを所望していた僕が急に紅茶を淹れてといったから。
あまつさえ苦手な生クリームたっぷりのケーキを食べたいだなんて。
疑問に思わないほうがどうかしている。
聞かれたところで答えるつもりもないのだけどね。
それもこれも全部・・・・・・・・

コンコン

控えめにノックされた扉を開ければそこにいるのはカンフー服に身を包んだ少女が一人。

「いらっしゃい。待ってたよイーピン」
「謝謝」
「今日はケーキがあるんだ。食べるかい?」
「我想吃蛋?!」
「今準備するから。座って待ってて」
「対不起」

全ては君のため。
君の笑顔が見たいから。
砂糖菓子よりもよっぽど甘い君の笑顔が最高のお茶請け、なんてね。






茶目っ気出してもお手つきしたら犯罪ですよ雲雀さん。

雲雀ってお茶請けなら和菓子を食べてるイメージ。

和菓子独特の繊細さが端正な雲雀を形成しているに違いない

とか思う自分の頭は相当病んでいるにちがいないが

その辺りには自身気付いているのでなんら問題はない。

2009/03/18



※こちらの背景はミントblue/あおい 様よりお借りしています。

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