「君に、いつ話すべきか迷っていたことがある」
嫌に深刻な声で言うものだから。
私は思わず一歩後ずさりしてしまった。
「な・・・・・・なんですか?改まって・・・・・・」
唯我独尊を地で行くこの人が、『迷った』というからには、それなりに重大なことなのだろう。
一体何を告げようとしているのか
重たくなった空気に気圧されるように、私は居住まいを正す。
その様子を横目で見ていたヒバリさんは重々しく溜息をついた。
「そんな風にかしこまられると逆に言いにくいんだけど・・・・・・」
「だって、ヒバリさんが深刻そうな声出すからなんか・・・・・・」
ヒバリさんが言い淀んでしまう内容って何かしら?
大抵のことは人の気持ちなんか一切考えずに進めてしまうヒバリさんのこと。
なおさら想像がつかなかった。
(でも、わざわざ私に言うってことは・・・・・・多分私に関係あるってことよね?)
私に関係があって。
話すタイミングを計るような重大なことで。
ちょっと話しにくいようなこと・・・・・・。
(──それってまさか・・・・・・別れ話っ!?)
よくあるもつれ話。
男女のすれ違い。
意見の相違。
そういう、ことなのだろうか。
先ほどから目線を合わせようとしないのもそのせい?
私、何かヒバリさんの気に障るようなことした!?
・・・・・・全然心当たりがないわ。
はっ!?もしかして逆!?
私が何もしないことに嫌気が差した・・・・・・とか。
こんなガキ臭いのより、もっとボンキュッボンなおねーさんの方が良くなった!?
ロリコン呼ばわりされるのに耐えられなくなった!?
だとしたら・・・・・・。
私がいくら努力したところで、勝ち目なんて無いじゃない・・・・・・。
私がヒバリさんよりも10歳年下なことはどうあがいたって変えられないし。
私が成長した頃には、ヒバリさんはもっと成熟している。
やっぱり、無理だったの?
私じゃヒバリさんには釣り合わない?
今まで、子供のままごとに付き合ってくれていただけ?
そんなの・・・・・・悲しすぎる・・・・・・。
「・・・・・・っ、ひっ・・・・・・く・・・・・・」
「・・・・・・なんでいきなり泣き出すわけ?」
「だ・・・・・・って・・・・・・やっぱり、私、じゃ・・・・・・ヒバリさんに、釣り・・・・・・合わない、から・・・・・・」
「何の話?」
「だ、から・・・・・・別れ・・・・・・ばなしを・・・・・・」
されるんでしょう?とは、私の口からは聞けなかった。
例えそうなのだとしても、口にしてしまうことが恐ろしかった。
「君って・・・・・・」
何でそう早計なんだい?
ぐしゃぐしゃに濡れた目元を、唇が拭った。
「ヒバ・・・・・・リ、さん・・・・・・?」
「誰も、そんなこと一言だって言ってないよ」
「じゃぁ・・・・・・」
一体どんな話を?
聞くよりも早く、背中が床に着けられた。
噛みつくかのような口付けに呼吸を奪われる。
「ふ、・・・・・・っん・・・・・・ぁはっぁ、ヒ・・・・・・バリ、さ・・・・・・」
激しい口付けの合間を縫って漏らす途切れ途切れの言葉は、もはや喘ぎ声にしか聞こえず。
「っ、は・・・・・・。あぁ、やっぱりそうだったんだ」
もっと早くに気づいてあげれば良かったよ。
濡れた唇を手の甲で拭いながら、ヒバリさんが口元を緩ませ笑った。
「さっきからパンツ見えてるよ、って言おうと思ったんだけどもしかして君から誘っているのかと考えあぐねていたんだ」
「っぃ!?」
今更とわかっていても、思わずスカートの裾を両手で押さえた。
「もっとはっきり言ってくれたら、君をじらしたりせずにすぐに食べてあげたのに」
「やっ!それは多大な、かんちが・・・・・・」
「うん、大丈夫、わかってるよ。ちゃんと優しくしてあげるから」
「わかってないっ!全然わかってないですぅぅっ!!」
叫んだ悲鳴が別の声に変わるのは、時間の問題だった。
告白
うちのヒバピンにしちゃ、割と珍しい傾向の話かも。
勘違いイーピンと勘違いヒバリの噛み合わないイチャイチャ話。
こーゆーのは深く考えて読んじゃだめ!
ノリと勢いで読んでください!!
・・・・・・・・・って、それを一番最後に言っても・・・・・・・・・
2011/08/23
お題はヒバピンお題配布サイトよりお借りしています。
※こちらの背景は
RAINBOW/椿 春吉 様
よりお借りしています。