無線綴じくるみ製本の方法
自分の備忘録として、そして自家製本やってみたい!って人を支援するために製本方法をまとめてみました。
自分なりにいろいろ調べ、そして自分なりに試行錯誤した結果の方法なのでかなり我流です。
ここで紹介する方法は、出来るだけ特殊な材料を使わないタイプのやり方になります。
入手困難なものや、一般家庭に通常無い物は使用しません。
正式(というものがあるのかは分からないけれど)な作り方ではないので、参考程度にしてください。
そして、もっと良い製本方法知っていたら教えてくださいm(_ _)m
よろしくお願いします。
【そもそも、無線綴じくるみ製本って何?】
同人やっている方には説明不要と思いますが、モノは知っているけど名前で聞くと「?」という方もいるかもしれませんね。
名前だけ聞くと聞き慣れない単語の羅列ですが、必ず皆さん一度は見たことがあると思います。
いわゆる『薄い本』の製本方法で用いられているものです。
表表紙〜背表紙〜裏表紙までの三面を一続きの紙でくるっとくるんでしまう製本。
薄い本以外にも多くの本に用いられています。
いわゆるコミックスや文庫本、ジャ●プやサ●デーなどの週刊少年誌もこの製本と思います。
よく見慣れたあの本やこの本を自分の手で作れたら素敵じゃないですか?
本当の本当に、最初っから最後まで自分の手で作り上げた本って素敵じゃないですか?
ぶっちゃけ、印刷会社に頼むほど部数いらないんだよな・・・・・・・・・って思ってませんか?
イベント三日前にならないとやる気がでない!でもそうすると印刷会社に頼めない!でも折角だからただのコピー本で終わらせたくない!って思ってませんか?
作り方をマスターすればそんな悩みはすべて解決☆
私はこの方法覚えてからイベント出発当日ぎりぎりまで粘るようになってしまいました^^;;
この方法は何も『薄い本』作りのためばかりじゃなく、やり方さえわかってしまえばいろいろなものに応用が利きます。
大量になった授業のプリントを一冊にまとめたい。
世界で一冊だけのフォトブックを作りたい。
作りたい装丁があるけど、やってもらえる印刷会社がない。
趣味の作品集を本にしてみたい。
などなど。
そんなわがままを自分の手で現実にしちゃいましょう!
参考までにほかの製本法の名前も列挙しときますね。
片面印刷し、印刷面が外側に来るように半分折り。それの開いている方をホチキスで止めるのは『袋とじ製本』→コピー本で一番多い。簡単。厚みが出せる。
両面印刷し、半分に折る。それの山折りになっている側をホチキスで止めるのは『平とじ製本』→簡単。ページ数が多い時に便利。
半分折りで真ん中の見開きページにホチキス打ってあるのは『中綴じ製本』→週刊誌とか。きっちり真ん中まで開くのでノドまで見やすい。ただしページ割付が面倒くさい。
両面印刷し、背表紙側に当たる面に切り込みをいれ、糸で閉じ、その上で表表紙〜背表紙〜裏表紙の三面をまるっとくるむのが『有線綴じくるみ製本』→辞書やハードカバーなど。加工が大変。その分強度があり、重厚感のある作りになる。
両面もしくは片面印刷し、背表紙に当たる側1センチくらいの所に目打ちで等間隔に穴を開け、糸で縢り綴じるのは『和綴じ製本』→御朱印帳など。
接着剤を使わずに製本可能。結び方一つでかなり表情が変わるため遊び甲斐がある。和紙や半紙などを使用した際には特に映える。加工はとても大変。
【どんな風に作るの?】
いきなり詳しく書くと挫折してしまうので(笑)、超大ざっぱな作業工程を。
太字見出しクリックで各項目の詳細部分に飛べます。
「途中までは分かる」という方は詳細部分をどんどん読み飛ばしてください。
詳細は『何故こうするのか』という部分を逐一説明しているだけですから。
必要な材料
制作過程・詳細の前置き
1、本文ページを用意する。
この製本では半分折りは無し。作りたいサイズの紙を用意。
2、表紙を用意する。
対応表(下記参照)を元に、必要なサイズの表紙用紙を準備、印刷。
3、表紙を加工する。
本文用紙の縦の長さ→αmm / 本文用紙の横の長さ→βmm / 総ページ数の厚さ→θmm とするならば、切り出しは
表紙の縦サイズ→αmm
表紙の横サイズ→β+θ+β+10〜20mmで一旦切り出す。
そして折り線を付ける位置は
@表紙Aの端からβmm+1mmのところ
A1で付けたラインからθmmのところの2箇所に折り線をつけ、
B2で付けたラインからβmm+1mmのところでカッターを入れて切り落とす。
表紙1・4側から、@とAで付けたラインの外7〜10mmの所にラインを入れる。
4、メルトシートを作る。
グル―スティックを溶かし、板状に加工。
縦サイズα−6mm / 横サイズθmmで切り出す。
4ーa、本文ページのノドに切り込みを入れる。
こちらは接着強度を上げたい場合のみ。やらなくてもいける。
5、メルトシートを使って表紙と本文ページを接着する。
背表紙部分にメルトシートを挟み、アイロンを当てて溶かしつつ接着。
6、完成。
はい!これで完成です!
本当にこんな感じです。
・・・・・・とは言っても、一つ一つの作業工程はちょっとややこしいんですけど・・・・・・^^;;
おまけ項目
◆とじ太君などの製本機を使用した場合。
◆なんちゃって無線綴じくるみ製本
◆表紙用紙切り出しの手間を無くしたい!
も上げておきますね。参考になれば幸いです。
詳しい作業工程は順繰りに説明します。
【必要な材料は?】
あまり特殊なものは使わないようにしました。
私は基本、100円均一利用(笑)
100円均一商品以外のものも、一般家庭に高確率であるだろうものを使っています。
ホームセンターなどでも十分に揃えられると思います。
代替用品は《》で記します。
*材料*
・本文用紙(両面コピー)
・表紙用用紙(片面コピー)
・アイロン《とじ太君などの製本機orホットプレート》
・グルースティック(白or透明)
・クッキングシート
・カッター
・段ボール(約30cm四方を数枚)
・画鋲
・ボールペン(インクが出なくなった奴が最良)《ロータリーカッター》
・ステンレス定規
・クランプクリップ《ターンクリップ》
・プラスチックボード
私は裁断機を持っていません。
なので最後の化粧裁ちをしなくて済むように、本文用紙を半分折りにしたりせず、そのままの大きさで使用します。
大量の用紙を手作業で折ると必ず歪みが出るので、制作サイズ通りの紙を購入することをおすすめします。
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【制作過程・詳細の前置き】
では!
いよいよ細かな制作過程に入っていこうと思います。
前述した制作過程に沿って説明していきますよ。
私の場合は普段小説でハガキサイズの本を作っているので、説明写真もそれに準じています。
あくまでも制作手順を知って貰うことを主眼に書いています。
どこの長さを取っているかを明記していきますので、ハガキサイズ以外のサイズの場合は各々の長さを測りなおして頑張ってください。
ちなみに、どうしてA6ではなくハガキサイズという微妙なサイズを扱っているかというと
A6(148mm×105mm)とハガキサイズ(148mm×100mm)のこの5mmの大きさの違いが重要だからです。
A6をA5(210mm×148mm)用紙でくるもうとすれば背表紙分の数ミリが寸足らずになってしまうのですが、
ハガキサイズをくるむなら10mm余ります。
この10mmを背表紙分に充てることができ、なおかつ無駄に裁断する必要が無いので裁断誤差による歪みを最小に押さえることが可能となり、必然的に仕上がりが綺麗になるからです。
それだけの理由なので、表紙を大きな紙から切り出してしまえば理論上はどんなサイズの本も制作可能です。
実際、私はハガキサイズに落ち着くまではB6サイズ(表紙はA4からの切り出し)で本を作っていました。
表紙に加工を施せば1サイズ大きな紙でも製本は可能ですので、A5サイズの本なら良くあるサイズのプリンターで十分対応できます。
近所に手差し出来るコピー屋さんがある方ならA3とかB3用紙も扱えると思いますのでB5サイズの本を作ることももちろん出来ます。
ですから、まずは作り方の基礎を覚えて見て下さい。
応用はサイズアップするだけなので簡単です。
みなさん、好きなサイズで作ってくださいね。
参考までに、各サイズの本とそれの使用する表紙用紙の大きさ一覧をもう一回おいとます。ご利用ください。
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1、本文を用意する。
まずはこれがないことには製本のセの字もはじまりません。
何はともあれ中身になるページを用意しましょう。
製本の練習をするだけなら中身が印字されている必要はありません。
手先が器用な人なら50ページ(枚数換算で25枚)
ぶきっちょさんなら100ページ(50枚)
紙の厚さにも左右されますが、一般的なコピー紙を基準にするならこれ位あると製本がしやすいです。
ページ数が少なすぎると背表紙を折る作業がとても大変なので(1mmの背幅で折っていくのは骨が折れます・・・・・・;;)初めての場合はある程度厚みが必要です。
慣れれば30ページくらいの本でも製本できますよ。
まぁ、このくらいの厚みなら『なんちゃって無線綴じくるみ製本』にした方が明らかに楽なんですが。
こっちの方は後で説明しまーす。
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2、表紙を用意する。
本文用紙が用意できたら今度は表紙です。
なぜこの順番なのかと言えば、表紙に用いる紙は背表紙分の厚みも考慮して印字しなければならないからです。
ぶっちゃけ大きめに印字しとけば先に作っても何ら問題はないです。
背表紙幅に併せて文字入れしたい場合や、背表紙のところに加工を施したい場合は本文の厚みが決定してからじゃないと泣きを見ます。
本文サイズと用意すべき表紙サイズの対応は上の表を参考にしてください。
各サイズの必要用紙に縁あり印刷すると印刷範囲に余裕が生まれます。
インクがもったいないからといって必要サイズぎりぎりで印刷すると後の裁断で微調整が利かず、最悪余白を晒すことにもなりかねません。
大は小を兼ねます。
ちなみに私の場合は
本文用紙:ハガキサイズ
表紙用紙:A5
なので、A5用紙を縁なし印刷で刷り上げて切り出し無しで使っています。
(A5の縁無しは殆どのプリンターで対応がないです。
ので、縁あり印刷でも問題のないデザインにするか、もしくはA5用紙2枚を付箋のような粘着力の弱いテープで張り合わせて似非A4用紙としてプリンターに通すという苦肉の策を使っています。
裁断機がある人はA4に2枚分印刷して裁断すると良いでしょう)
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3、表紙を加工する
表紙の印字が終わったら加工しましょう。
ここで必要になる加工は
@切り出し
A折り目付け
の二つです。
@の切り出しに関しては、必要な大きさに切り出すだけです。
「必要な大きさは対応サイズ表見たら分かるね。表表紙+背表紙+裏表紙の長さで切り出せばいいね!」と思った方!
ちょっと待った!
ここでそのままのサイズで切り出すと失敗する可能性があるのです!!
「サイズ通りなのにどうして?」って思いますよね?
ソレにはちょっとした理由があります。
参考までに手元にあるコミックスでも文庫本でもいいので、ノリ付けしてある部分をよーくみてください。
接着部分に1mm位厚みがあるのわかりますか?
そう、表紙と本文紙束の間には接着剤が入る隙間が必要なんです。
それに加えて、表紙に使う紙ってしっかりするように少し厚手の紙を使ったりしますよね?
私の場合で言うと、
本文用紙→0.1mm
表紙→0.27mm
くらい違います。
分かりやすい比較で言えば
本文はいわゆるコピー用紙、表紙はハガキ用紙の厚みとなります。
厚めの紙を使うと、きっちり折っているつもりでも若干の誤差が生じやすいです。
ですのでゆとりを持たせて裁断する必要があるのです。
最初からきっちり裁断してずれ込んだりすると後で泣きたくなるので、ここでは逆コの字型に紙を切りましょう。
本文用紙の縦の長さ→αmm
本文用紙の横の長さ→βmm
総ページ数の厚さ→θmm
とするならば、切り出しは
表紙の縦サイズ→αmm(折り目がつかないのできっちりジャストサイズに)
表紙の横サイズ→β+θ+β+10〜20mm(余裕を持って長めに)
としておくと後で調整しやすいです。
横の長さは、最後の仕上げの時に切り捨てることが出きるので、三辺だけ断ち切る形でもいいと思います。
切り出しが終わったら次はA折り目付けです。
個人的には一番重要と思っている作業です。
ここで手を抜くと綺麗な製本が望めませんので気張っていきましょう。
先ほど切り出した表紙用紙を使います。
ここに、まずは背表紙に当たる部分の折り線を付けていきます。
表紙を裏返します。
まずは表紙A表紙Bの面から加工を施しましょう。
※いわゆる表紙の裏側が表紙A、裏表紙の裏側が表紙Bです。オフ本を作る時に必要になる知識ですので、覚えておくと良いでしょう。
折り線を付ける位置は
@表紙Aの端からβmm+1mmのところ
A1で付けたラインからθmmのところ
の2箇所。
ちなみに、@を+1mmしているのは接着剤を挟み込んだ時の厚みを考慮しているからです。
個人的には+1.25mm位がベストなのですが、この辺は接着剤部分の厚みにもよるので、自分で一番良い接着剤厚を見つけてください。
さて、この2箇所をインクの出なくなったボールペンで力強くグリグリっと線を引きましょう。
この時、紙の下に未使用のコピー用紙を引いておくと良いです。広告などでは擦った部分に色移りする事があるので、コピー用紙がいいです。
そして
B2で付けたラインからβmm+1mmのところ
でカッターを入れていらない部分を切り落としましょう。
これで表紙用紙が製本時のサイズになりました。
折り線を付けたところは手でも折っておきましょう。ボールペンの痕がガイドラインになっているので綺麗に折れるはずです。
そして、この段階で一度本文用紙を挟んでみて大きさが間違っていないかを確認しておきましょう。
表紙が少し大きいくらいで正解です。接着剤を挟んだらちょうど良くなります。
逆に、この段階で本文の小口と表紙用紙の端が揃っているようだと小さすぎます。
接着剤を挟んだら本文用紙がはみ出してしまいますのでもう少し大きくカットしましょう。
さて。
「よっしこれで表紙の加工終了!」
・・・・・・・・・とはなりません。後一手間加える必要があります。もう一踏ん張りですよ。
今度は表紙@と表紙C、つまり印字してある側から加工をします。
先ほど折り線を付けた背表紙幅の二本線がありますよね。
背表紙幅線の外7〜10mmのところに、折り目付けと同様にインクの出ないボールペンでグリグリとガイドラインを引きます。
なお、この折り線は手で折る必要はありません。このままガイドラインだけ引いて終わりです。
このラインは何のためのものかというと、本の開きをよくするため&製本強度を上げるために必要不可欠なラインです。
実際にラインなしとラインありで製本を比べてみればその差は一目瞭然なので是非やってみてください。
このラインをあらかじめ付けておくことで、本を開いた時に力の分散が起きてノドまでぱっくり開いてしまうのを防ぐことが出来、結果的に製本の強度が上がる仕組みになっています。
地味な2本線ですが、この一手間を惜しまずにきっちり入れていきましょう。
これで今度こそ表紙用紙の加工終了です。お疲れさまでした。
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4、メルトシート制作
「メルトシート」ってなんぞや?という方が大半だと思うので少し詳しく説明します。
そもそも、この製本ではいわゆるボンドや瞬間接着剤のような接着素材を使いません。代わりに用いるのが「メルトシート」になります。
これは熱で溶けるタイプの接着剤になります。
この素材の良いところは、
@熱で溶け、冷めれば固まる→固まるまでが早い
A一度固まっても再度熱を加えれば何度でも融解する→失敗してもやり直しが効く
という部分です。
やり直しが出来るのはぶきっちょさんには嬉しい事項ですね。
この「メルトシート」は既製品も売っています。
が!高いです・・・・・・高いのです・・・・・・。
ある程度の量を使うことを考えると、必要分を購入するのはお財布的にもアイタタタ・・・・・・ってなるので、私はメルトシートを自作しています。
自作した方が断然安い!
というわけで、メルトシートを作っていきます。
説明の順番上ここに差し込みましたが、シートを作るタイミングはどこでも構いません。時間がある時にある程度の枚数を加工だけしておいて、必要時に本の厚さに応じて細く切り出しするという流れが良いと思います。
さて。
自作メルトシートの原材料はグルースティック。
DIYとかスイーツデコとかをする人には馴染み深いものでしょうか?
グルースティックは量販店でも扱ってますし、100円均一でも売ってます。(セリア・ダイソー確認済)
「100均のは接着が弱い」という書き込みを見かけたこともありますが、少なくとも私は製本材料として使用に値するくらいの粘着力はあると思っています。気になる人は量販店のものを使うと良いでしょう。
グルースティックの他には要らない段ボール数枚と画鋲、クッキングシート、アイロンを用意します。
画鋲は小学校とかで使ったタイプの頭が平べったい奴、この形でないとだめです。
この平べったい部分の厚さがシート加工のポイントです。こいつをガイドにして約1mm厚のシートを作るのです。
加工の関係上、熱を加えるのでプラスチックタイプもだめです。金属の頭が平べったい奴を選んでください。
T,段ボールにグルースティックを溶かし広げた時の目安になる広さを描き込む。
本当を言えば描き込む必要はないのですが、延ばした時の目安になるので初めて作る人は描いてしまった方が後々分かりやすいです。
製本サイズと手持ちアイロンの大きさによってどの向きで取るかが変わりますが、一辺の長さがα−6mm、もう一辺はどれだけ長くても構いません。ただし、両方の長さがアイロンの幅より大きくならないように注意してください。
αmmにしないのは、シートをぎりぎりの長さで切り取ると溶かした時にグルーがはみ出してしまうからです。そうならないために少し小さめにカットして使用します。
U,重ねた段ボールに画鋲を打ち込む。
Tで描き込んだラインの外側3センチ位のところ2辺に画鋲を刺します。
ガイドになるので出来るだけ狭い間隔で。まっすぐに打ち込みましょう。
V,打ち込んだ画鋲よりも一回り以上大きいクッキングシート2枚を準備。
余裕を持って大きくしておくと吉。小さすぎると溶かしたグルーがはみ出したりして惨劇になるので。
2枚のクッキングシートは重ねて段ボールの上に。上辺一辺だけを画鋲で止めて固定します。
この時も画鋲を打つのはTで描いたラインの外側3センチくらいを目安にしましょう。
W,クッキングシートの間にグルースティックを挟む。
2枚のシートの間ですよ!間に挟んでくださいよ!!
X,アイロン(ドライ)を当てる。
温度は高温設定で。
熱が伝わって溶けるまでちょっと時間掛かります。
早々焦げたりはしませんが、様子を見つつアイロンを上から押しつける感じでグルーが溶けるのを待ちます。
グルーが溶けたらTのガイドライン全体に広がるようにグルーを押し広げましょう。
画鋲で作った厚さガイドがあるのでこの上を滑らせている(アイロンが両方画鋲に当たっている感触が有る)限り、厚さは気にしなくていいです。とにかく根気強くグルーを広げていきましょう。
あんまり力ずくで延ばそうとするとクッキングシートの画鋲で留めた部分が破けます。ゆっくり丁寧にやりましょう。
グルーの特性は上にも書いた通り、再加熱をすれば何度でも溶けることです。慌てる必要はありません。
Y,シートが完全に冷めるまで待つ。
延ばし終わったらそのまましばらく放置で。
溶かしたてのシートは死ぬほど熱いです。火傷します。(経験者談)
室温にもよりますが、5分もすればあら熱は取れるかと。
ちょっと触ってみて、固くなってたら大丈夫です。ちょっとふにゃっとするようならもう少し置きましょう。
熱が取れて固まった状態になるとクッキングシートが簡単に剥がせるようになっているのでそれを目安にしてもいいです。
Z,固まったシートを必要な大きさに整える。
使いやすいようにシートをTで書き込んだガイドの大きさに切っておきましょう。
縦:α−6mm
横:切り出せるぎりぎりの長さ
実際に使用するときはここからさらに細切れするので横の長さはどれだけあっても構いませんよ。
そして、この時出たシートの切り屑は捨てないで下さいね。
グルーの特性は「加熱すれば何度でも溶ける」ことです。
この切り屑も集めてもう一度加熱すればシートに化けますよ。
どんな小さな屑だって再利用可能なところもグルーの良いところです。
[,メルトシートを使用の幅で裁断する。
Yで切り出したシートを、実際に使用する幅で切り出しましょう。
切り出しはθmmちょうどでOです。3mm以下はかなりきつい作業になりますが頑張りましょう。
やってらんねーよ!って人には別タイプの方法も後で紹介します。
シートは上下に目印付けて軽く切り込み入れたら、後は「裂けるチーズ」な感じで手で裂くと切りやすいように思います。
何となくはさみは通りにくい感じがするのでカッター推奨しとく。
はい!
これでメルトシートの準備完了ですよ!!
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4ーa、本文ページのノドに切り込みを入れる。
(※こちらは接着強度を上げたい場合のみ。やらなくてもいける)
ほとんどの自家製本説明サイトさんでこの項目があるんですが、150ページ以下の本ならやる必要はないかなーというのが主観です。逆に30ページくらいの本で切り込み入れると逆にがたがたする印象があります。
理論的にはやるに越したことはないってのは理解してますが(接着面積を大きくすることで製本強度を上げる為の作業)、やらなくても何とかなる。
セオリー通りにやりたいって人は是非やって下さい。
一応簡単に説明入れておきます。
壱,本文用紙100〜150枚位を一束とする。
枚数少ないと加工しにくいので数冊分まとめて加工しましょう。
弐,まとめたものをノドの部分がはみ出すようにプラスチックボードで挟む。
100円均一で売っているプラスチックボードを本文用紙の横長βmmより1センチ位小さいサイズで2枚用意します。
ボードで本文を挟み、クランプクリップ(バネクランプ・スプリングクランプとも)で固定します。
この製品が見つからない時は大振りなターンクリップでも代用可能です。
何故この形にこだわるのかというと、こいつらを使うと挟んだ紙が自立出来るからです。
締付力は圧倒的にC型クランプの方が強いのですが、そこまで締め付けなくても作業できるし、取り外しが簡便な方がいろいろと作業しやすいので私はクリップタイプをおすすめします。
参,挟んだ紙に、1mm程度の溝を均等に5〜6カ所刻む。
段ボールカッターや鋸のような、切り溝が形成されるタイプのものを使います。
普通のカッターやナイフだとこの溝は上手く付きません。
深く切り過ぎてもダメです。結構面倒くさい作業です。
肆,ノド全体に浅く切り込みを入れる。
傷を付けて表面を荒らすことが主目的。ヤスリで荒らしてもよい。
こんな感じですかねー?
以前はやっていましたが、最近はめっきりこの作業してません。
何度も書きますが、よほどページ数が多くない限りやらなくても大丈夫です。
具体的にページ数出すと、136pの本ではこの処理してないけど問題なかったです。
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5、メルトシートを使って表紙と本文ページを接着する。
さあ完成も間近です!
最終工程「接着」に入ります。
4で作ったメルトシートを3で作った表紙用紙の背表紙幅部分に挟みます。
慣れない人はスティックノリとかで軽く止めておくとずれなくなって作業しやすいです。
この状態のものに、上からクッキングシート(汚れ対策)を被せます。
そして4-aで使ったプラスチックボードとクランプクリップで挟みましょう。
クランプクリップ使っているので自立するはずです。自立させないと作業しにくいですよ!
アイロンはドライで高温に。
背表紙におもむろに当てていきましょう。
シートを作ったとき同様、溶けるまで少し時間掛かりますので30〜45秒位を目安にして当てたり外したりを繰り返します。
背表紙全体に熱が回ったら、アイロンを外し、クランプクリップを外し、背表紙を下にして10センチ位のところからトントン落として馴染ませます。お菓子作りとかでよくやる「空気抜き」と同じです。
これで小口が綺麗にそろえばOK。
紙がばらつくときは再度アイロンを当てて紙が整うまで何度も繰り返しましょう。
綺麗になったら、グルーが冷えて固まるまで放置します。
出来れば背表紙を下にして縦に置くといいです。紙が自重で落ちてくれるので。
完全に冷えるのを待つため、しっかり時間をおいて下さい。
固まっていない状態でいじると、簡単にばらけます。
完全に冷えたら、本をぱらぱらめくって確認してみましょう。
もしもくっついていないページが有るようなら、もう一度5の行程を繰り返します。
くっつきが悪い時は、グルー部分を熱した後、揉み込むように背表紙部分をぐにぐにするとグルーがいい感じに伸びてくれます。
3の折り目付けで付けた線まではグルーがしみ出て構いません。
むしろ背表紙部分からはみ出してくれないと製本強度は低いです。
グルーはみ出し防止にα長は短くしているのに、θ長はジャストのサイズなのはそのためです。
それから、トントンしている時、本文ページを持って背表紙にグイっと押しつけるのも方法の一つです。
本文と背表紙の隙間を見て、ここが隙間空きすぎている時は接着不備なことが多いです。
グルーがぎりぎりまで押し出されていなくても問題はないので、この隙間が1mm厚くらいになるまで本文用紙と表紙用紙を圧着させます。
グルーがはみ出した時は、慌てず騒がす指ではみ出した部分をこすり取るor固まってからカッターで切り落とすなどの対処をしましょう。ちょっとくらい表紙に付いても素早く取れば表紙にこびりついたりしません。
そういった観点から言っても、グルーを用いた製本はぶきっちょさんの味方です。
←前の工程に戻る ◇作業工程簡易版に戻る◇ 次の工程に進む→
6、完成。
グル―が冷えたのを確認して一度本を開いてみましょう。
表紙をめくった時、表紙に付けた折り線で開くようなら正解。
パラパラパラーっとめくって紙が外れたりしなければOK。
途中の紙を一枚摘んでみて、しっかりくっついてればもう大丈夫!
どうしてもこうならない・・・・・・・・・という場合は、グルーの量が足りてない場合があります。
もう一度アイロンを当て熱した状態で、表紙が汚れないようにグルンと反り返らせて本文用紙を表紙用紙から一度外しましょう。
グルーならこういうことも可能なんですよ。(ドヤ顔)
グルーが細い糸状に引き延ばされてついてくるので、適当にカットしてはみ出しをなくします。
そしてもう一度メルトシートを表紙用紙に張り付けて作業してみましょう。
グルーの量が増えれば大体の場合問題は解決します。
お疲れさまでした!
貴方の貴方による貴方のための世界で一冊だけの本が出来上がりです!
説明は長くなりましたけど、作業してみれば「こんなもんか!」って感じると思います。
是非とも、みなさん自家製本に挑戦してみてください!!
←前の工程に戻る ◇作業工程簡易版に戻る◇ おまけの工程(とじ太君などの製本機を使用)に進む→
おまけ
◆とじ太君などの製本機を使用した場合。
ここでいう製本機とは、下部に温熱ヒーターの通った熱源機械で、メルトタイプの製本をする際に用いられるもののことです。
アイロンを使うのとは違って、背表紙を下にして作業ができるので小口合わせなどがしやすい利点があります。
また、少々長い時間つっこんでおいても焦げたりしません。
製本冊数が多くなると、こういった些細な作業がタイムロスになるので、総製本200冊を越えるなら買って損はないのかなと思います。
また、このタイプであれば背幅の狭い本ではメルトシートへの加工をしなくてもグルーガン直付けという荒技も使えます。
製本方法3までの加工は上記を参考に。
背幅3mm以下の場合、メルトシートを作る代わりにグルーガンでグルーを直接塗り付けます。
3でつけた背幅の2本ラインがありますね。表紙用紙を内側にみて、まずは左ラインから処理していきましょう。
グルーガンが熱されて打ち出せる状態になったら、紙の上部(紙の端から5mmくらいはグルーはみ出し防止に空けておきましょう)から背幅ライン上に外向き45度・下向き45度くらいを意識して押し当てます。
この状態でグルーを押し出しつつ下まで滑らせます。
押し出したグルーをガンの先っちょで擦り広げる感じです。
ゆっくりじわじわ進めるとグルーが出すぎるので、サッ!とラインをなぞる感じでやりましょう。
下までいったら紙をひっくり返してもう一方の背幅ラインにも同じようにします。
2本のグルーラインの間に隙間があるようなら、適宜その場所をグルーで埋めておきましょう。
グルーを付着させた紙に本文用紙を挟み込みます。
この時、グルーの表面が整っていないせいで綺麗に紙を挟めないこともありますが、製本機でグルーを融解させながら整えていきましょう。
製本機のでの製本は、アイロンを使うかどうかの差だけでやり方確認事項は5と同じです。しっかりくっつくまで融解→冷却を繰り返します。
◇作業工程簡易版に戻る◇ おまけの工程(なんちゃって無線綴じくるみ製本)に進む→
◆なんちゃって無線綴じくるみ製本
30ページ以下の本の場合は、メルトシートやグルー使うのが面倒くさい時があります。また、時間がなさ過ぎて会場製本を余儀なくされる時でも、この方法ならくるみ製本の雰囲気が味わえます。
表紙の加工は3のやり方と同じですが、接着剤を挟まないので
縦:αmm
横:β+θ+βmm
でOKです。接着剤分の厚さはカットです。
本文をホチキス止めします。
ノドから3〜5mmくらいを狙うと良いでしょう。
この時ホチキスはフラットタイプを使うと目立ちにくいです。
余裕があれば、ホチキスで止めた部分を金槌で叩いて更に芯を潰してフラットにさせます。やらなくても大丈夫です。
ホチキスを打った部分に重なるように縦に両面テープを貼ります。
ノドぎりぎりから貼ると良いです。
製本サイズによってテープの太さは変わると思いますが、5〜10mmの間でしっくりくるものを選んでください。
参考までに、私はB6サイズで作っていたときは5mm幅を使ってました。
後は両面テープの台紙を剥がして表紙用紙とくっけるだけです。
両面テープでの張り付けは多くの人がやってきたと思います。
それとどこが違うのかといわれれば、背表紙を作っているところです。
なんちゃってくるみ綴じ製本では、背幅をきちんと作ってあげることによって、なんかよくわかんないけどちょっとクオリティアップ感を出すことが出来るのです。
実際に見比べると差がはっきりしますよ。
表紙を普通に二つ折りにして両面テープでくっつけたものと、なんちゃってくるみ綴じ製本のもの。
一手間加えることで結構印象は変わります。
←おまけの工程(とじ太君などの製本機を使用)に戻る ◇作業工程簡易版に戻る◇ おまけの工程(表紙用紙切り出しの手間を無くしたい)に進む→
◆表紙用紙切り出しの手間を無くしたい!
上記説明過程でもお話しましたが、きっちりとしたくるみ綴じ製本をする場合には2サイズ大きい紙から切り出す必要があります。そうしないと背表紙分の長さが足りないからです。
でも、正直切り出し面倒くさいよね・・・・・・・・・。
丁寧にやっても結局歪むし・・・・・・(苦笑)。
私もそれがイヤではがきサイズに移行した口ですので気持ちは良くわかります。
そんな方には1サイズ大きい紙を使って製本する方法をおすすめします。これなら歪みも最小に押さえられるはず。
「そんな方法があるなら一番に教えろよ!」と思うかもしれんが、いろいろ訳があるのですよ。
一つは基本ありきのやり方である点。
もう一つはそれなりにリスクもある点。
最後に、私自身がやったことないという点(サンプルくらいは作りましたが実際の頒布用では作ったことないです)。
ですから、これは本当に参考程度にして下さい。
まずこの方法の場合、サイズの関係上綺麗にくるむことは出来ません。どうやったって寸足らずになります。
その点をご理解下さい。
寸足らずでどうするのかというと、表紙@を少し短くしてデザインカットにしてしまうのです。最近はこういうタイプの本も増えてきましたよね。
短くした分、本文1ページ目が見切れるので、遊び紙を挟んで「見切れてるんじゃねーし!オシャレ仕様なだけだし!!」という雰囲気を出しましょう。弱気はだめです。強気でごり押しするのです!
カラー用紙やトレーシングペーパー挟んだら雰囲気出ると思います。
もしくは、表紙に隠れている感じのイラストとか入れても可愛いのではないでしょうか?
表紙との何らかのつながりを意識すると上手くデザイン出来るのかな?
デザイン力は全くないので、このあたりのことにはあまり言及できません。各印刷会社にいろいろなサンプルがあると思いますので、それらを元に加工を考えてみて下さい。
加工の道具はデザイン穴空けパンチとかが100円均一に売ってますよ。ウエーブカット出来るロータリーカッターとかはさみとかでも良いかもです。
とにもかくにも、どうにかして表紙@に加工を施しましょう。
そして3の表紙への折り線入れの入れ方が少し変わります。
基本(表紙切り出し)の場合は、表紙@A側から長さを計りましたが、デザインカットをした場合は逆に表紙BC側から長さを計ります。
これ、絶対に間違えちゃだめですよ。
デザインカットの場合の折り線を付ける位置は
(表紙ABの面から加工を施しますよ)
@表紙Bの端からβmm+1mmのところ
A1で付けたラインからθmmのところ
の2箇所。
表紙@Cの面からの本の開きをよくする為の折り線の入れ方は基本と同様です。
表紙@側はデザインカット入れて短くしてあるので、基本のように表紙Aから計ると裏表紙が寸足らずになっちゃいますよ。間違えないように気をつけて下さい。
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これでひとしきり説明できたかな?
出来る限り詳しく書いたつもりですが、わからない点などがあれば追記したいと思います。
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長文のおつきあい、ありがとうございました!
制作:さかきこう