崩壊しないものなど、この世に何もない。
堅牢な建造物でも、
強固な意志でも、
唯一絶対の思想でも、
天地に等しいほどの宗教でも。
それらは時とともに変遷して、やがて脆く崩れ去っていく運命にある。
いや――――、
造られた時から既に崩壊は始まっているのだ。
だから、壊れるのを嫌うならば、造らないことしか方法はない。
それでも人間は連綿と何かを創造してきた。
(高田崇史 著/QED 東照宮の怨 より抜粋)
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わかっている。
こんなものなど、
こんな気持ちなど、これ以上成長させてはいけないと。
「太子」
「・・・・・・・」
「太子」
「・・・・・・・嫌だからな」
「まだ何も言っていません」
「言わなくたってわかるよ!!お前は私を捨てるつもりなんだっ!」
「違います」
「何が違うって言うんだよ!!」
「捨てるんじゃない。このまま“停止”させるんです」
「同じだよっ!!お前はこのまま、私の前から消えるつもりなんだろ!?お前がいなくなるなら同じだよ」
「太子、わがまま言わないでください」
「嫌だよ・・・。わがままだって何だって言ってやる。それで妹子を引き止められるならなんだってしてやる」
「太子・・・・お願いですから・・・・・」
「いやだいやだいやだいやだっ!!」
「太子・・・・・」
「摂政命令だっ!ずっと私の側にいろっ!」
「・・・・・すみません・・・・・」
「・・・・・なんで謝るんだよ・・・・・なんで『ハイ』って言ってくれないんだよ・・・・・」
「・・・・・・・・・・これで最後です」
「やだ・・・・最後なんていうな・・・・・」
「愛しています。
これからも、ずっと。
この命続く限り」
「聞こえない。聞こえないから最後なんかじゃないからな!!」
「ちゃんと聞いてください」
「あっ!・・・・・・・やだ・・・・やめろ・・・・」
「だから太子は、決して僕を好きになんかならないでください」
「・・・・・・・やだ・・・・・・いやだ・・・・・・」
「明朝の朝議の際お迎えに上がります。
それでは失礼いたします、厩戸皇子」
「いもこ・・・・いもこ・・・・いつもみたいに呼んでよ・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・なぁ・・・・いもこ・・・・」
「・・・・・・・・・・」
これでいいんだ。
これでよかった。
僕は太子が好きで
太子は僕を好きでいる。
好きで好きでたまらない。
でも
決して成立させてはいけない。
完成すればその先に待つのは崩壊しかないのだから。
壊れるくらいなら
完成させなければいい。
作らなければ壊れない。
誰にも壊させない。
そうすれば、この想いは永遠のものだから。
「愛しています。太子・・・・・」
永遠を得たのに、この声を受け止めてくれる人はもういない。
「太子・・・・・太子・・・・・・」
一番聴いてほしい人は、もういない。
いない
いない
どこにもいない
Break Down
例えばこんな風に身を引く妹子とかどうだろう。
これでいいと思いながら身を引いたことを後悔しまくるダメ男な感じ。
首尾一貫しているつもりで実は矛盾だらけなことに後で気付くの。
気付いたときにはもう遅いんだ。
初めの方セリフだけにしてみた。
なんかこの方が雰囲気は伝わるかなって。うん、逆にね。
雰囲気小噺だからあえて状況描写を全部抜いてみけど、どうかな?
幸せになってほしい反面、この二人はなんとなく悲恋が似合うと思うのはさかきだけですか?
悲恋って(パン)いいよね!(パン)
2009/06/22
※こちらの背景は
NEO-HIMEISM/雪姫 様
よりお借りしています。