ページをめくる度に、胸が締め付けられる。
どうしようも無い孤独感が、僕を襲う。
やりきれない想いに、胸が張り裂けそうになる。
でも
これが僕の選んだ道だ。
選んだのが僕なのか、それとも『僕』なのかはわからないけれど。
それでも、こうすることが最善だと僕たちは考えた。
たとえ、あんたの手を離すことになっても。
本当は寂しい。
本当は哀しい。
あんたのことを世界の果てまでも追いかけて探し出してしまいたい。
きっと僕にはそれができる。
『僕』が残したこの日記から推測すれば、おおよそのバンパイアマウンテンの位置だってわかる。
僕たちが辿った道程も、ある程度追うことができる。
それが出来ないのは僕が臆病だからだ。
『起こってしまったことは変えられない』
『役者が変わるだけた』
日記にはそう記してあった。
もしかしたらあんた自身、僕が抜けたことでこの運命の環から外れているかもしれない。
でも万が一。
そうじゃなかったら?
あんたはこの運命から逃れられていなかったら?
僕ではない誰かを弟子にして。
僕ではない誰かと旅をして。
僕ではない誰かの為に、命を落としていたら?
・・・・・・・無理だ、耐えられない。
あんたは僕以外の誰かでもいいかもしれない。
僕のことなんて知りはしないんだもの。
でも、僕はあんたを知ってしまった。
あんた以外には誰も僕の隣に立てないんだ。
それなら僕はこのままでいい。
このまま孤独と戦ってやる。
『僕』が残した運命を打破する武器を手に。
あんたの知らないところで、あんたを、あんたたちを、救ってみせる。
この武器に、一つだけメッセージを残しておくよ。
あんたが字を読めないことは知っているけど、僕の武器はこれしかないから。
どうか、誰か。
このメッセージを読んだバンパイアがいたら彼に伝えてください。
“Dedicate to my father, Mr.crepsley”
返事は要らない。
ただ、僕という存在がこの世界にいることを、どうか知っていてください。
二人と一人
(あんたの隣には誰かがいて、僕の隣には誰もいない)
12巻終了後ダレンが日記を手に入れてからのお話。
ちなみに僕は12巻終了後の人間ダレン自身を
『僕』は日記の中における、半パンパイアダレンを指します。
面倒くさくてすまん。
2010/07/25
※こちらの背景はSweety/Honey 様より、
赤師弟30のお題は赤師弟同盟 様
よりお借りしています。