「ねぇ、ラーテン」
ボゥとする頭で起き上がると、マローラが隣に腰を下ろした。
「今日はエイプリルフールよ」
・・・・・・エイプリルフール・・・・・・
なんだったか、聞いた事はある名前だ。
あぁ、確か嘘をついても良い日、とかそんな日だったか。
「そうか。もうそんな時期か」
どうりで最近大分空気が暖かくなってきたと思ったわけだ。
「うん。もうそんな時期」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そして、この沈黙である。
「・・・・・・おい」
「何?」
「それだけか?」
「それだけって?」
「エイプリルのことだ」
「うん?」
マローラは小首を傾げた。
何が「それだけ」なのか、心の底から解っていないようである。
「我輩に何か嘘でも言いに来たのではないかと聞いているんだ」
「私が?ラーテンに?どうして?」
「どうして、って・・・・・・お前がわざわざ今日がエイプリルフールだと言ったのではないか」
「わざわざって・・・・・・ただの日付の報告じゃない」
そう言われてしまえば、そうなのだが……。
「大体、『今から嘘吐きます』って報告するのも馬鹿な話じゃない。するなら嘘を吐いてから種明かしするのがセオリーよ」
「まぁ、な」
「それに・・・・・・」
「それに?」
ゆっくりと瞼を伏せ。
体重をこちらに傾かせた。
「ラーテン相手に吐く嘘なんて、私は一つだって持ち合わせていないの」
マローラは照れくさそうにはにかんで見せた。
Live a lie
貴方への嘘なんて、一つも無い。
私は『私』を騙しているだけ。
貴方を誰よりも深く愛しているというこの気持ちを、今はまだ自分の中に押し込めて生きている。
ただ、それだけよ。
クレマロでエイプリル?ネタ。
マローラたんは例えどんな些細な嘘であっても、
ラーテンが不利益を被るような嘘を付かない気がする。
マローラたんいい子過ぎる。
マローラたん幸せにし隊。
Live a lie は『隠し事の有る生活を送る』の意です。
2012/04/01
※こちらの背景は
Sweety/Honey 様
よりお借りしています。