「つまりはだ、俺が言いたいのは」
人払いをした元帥の間で神妙な声を上げたのはミッカー。
残る二人は何のことだかさっぱり分からないといった体で首を傾げる。
「元帥が全員揃ってどうする、ということだ」
「んぁ?全員って、たった三人じゃねぇか?」
「・・・いや、ちょっと待てバンチャ。パリス亡き後、ダレンも後を追うように居なくなり結局その後釜を据えずに今日まで来てしまった。となると今現在元帥は・・・」
「そうだっ!我ら三人だけなのだ!!」
「だからなんだってんだ。叙任するにしたって次の総会までまたにゃならんし、今ギャーギャーカラスみたいに騒いでもどうしようも無いだろうが」
「そういう問題ではないっ!掟を思い出せ!我らは不測の事態に備え、元帥のうち誰か一人は必ずバンパイア・マウンテンから離れていなければいけないとあっただろう」
「あ〜。そういやぁあったな、そんなのも。大抵は俺が席空けているんだから問題ねぇだろ?」
「そのお前がっ!ふらふら居なくなりふらふら戻ってくるから問題なんだっ!!!」
「まぁまぁ。落ち着けミッカー。バンチャも今は特別な状態なのだ。絶えずバンパイア・マウンテンとバンパニーズのアジトを行き来しなければならない。
多少は多めに見ようではないか」
「その間に一族に大事が起こったらどうする?」
「・・・そ・・・それは・・・」
「バンチャ、聞いたところによるとダリウスとバネズ、そして双子を街に送るらしいな?」
「あぁ。これでしばらくは子育てから解放だ」
「ならば、お前がココに残れ」
「は?」
「代わりに、俺が外に出る」
「・・・ミッカー・・・それは・・・」
「双子を放り出すなど断じて許さんっ!!俺が一緒に着いて行くぞっ!!」
「・・・お前・・・ティダと一緒に行きたいだけだろ・・・」
「っ!?馬鹿をいうな!俺はただ皆と一族を心配してだなっ!?」
不毛な会話は続いていく。
ミッカーが本当に双子に着いていくかどうかは(着いていけるかどうかは)また別のお話・・・。
街へ行こう〜番外編〜
2011年5月スパコミで無料配布した
「傷師弟と双子の兄妹を広めたいだけの本2」収録話です。
タイトル通り、続きます。
2011/06/24(サイト掲載)
※こちらの背景は
clef/ななかまど 様
よりお借りしています。