Zzz



「・・・・っあの馬鹿者が・・・・どこに行きおったっ・・・!!」

今日のショーで失敗があった。
他の者のフォローのおかげで大事には至らなかったからいいようなもの、ほおって置いたらいつか取り返しのつかない失敗に繋がる。
早急にミスの訂正をしておかなければいけないというのに・・・・。
ショーが終わるやいなや、ダレンは姿を消した。
大方我が輩に怒られると感じてどこかに逃げ出したに違いない。
しかしそんなことで許してやるほど甘やかしてはおらん!
今日という今日は徹底的にしかってやらねばならん。
逃げると言うなら地の果てでも追いかけて尻を引っぱたいてやる!!

なのに探せど探せど、当の本人は見つからず。
テントにもいない。
舞台裏にもいない。
食事場にもいない。
まさかと思い、我が輩のトレーラーも探してみたがやはり姿はなかった。
友人のエブラに訪ねても行方は知れなかった。

とたんに不安が過ぎる。
まさかココから逃げ出したのか?
いや、もしかしたら誰かに攫われたのかもしれない。
フリークショーは珍しい人間の巣窟だ。
ハイバーニアスが見守っているから頻度こそ高くはないものの、未だに団員を狙うものは少なくない。
それが見た目子供に過ぎないダレンならば狙われる可能性は高いだろう。
人間ごとき、バンパイアの敵ではないが血もろくに飲もうとしないあやつならば抵抗も出来ないかもしれない。
考えれば考えるだけ不安になる。

(っダレン・・・・っ!!)

たまらずに駆け出す。
どこに向かって走ればいいのかもわからないが走り出す。

「?クレプスリー?」
「!」
「ふぁぁぁっ・・・・あんたこんな所で何してるの・・・・?」
「それはこっちのセリフだ!今までどこにおった!」

一歩目を踏み出したことろで、こちらの心配などまるで知らずにのうのうとダレンが姿を見せる。
暢気に欠伸なんかしてしおって!

「どこって・・・・・ステージ終わってからそのまま控え場の影で寝てた・・・・・みたい」
「みたいとはなんだ!?」
「僕も覚えてなくて・・・・気付いたら誰もいなくてびっくりした」

言いながらもう一度欠伸をする。

「今日のステージごめんね。らしくない失敗しちゃって・・・・・」

そのとき、ダレンの体がぐらりと大きく揺れた。
体勢を立て直そうという気配すら感じられず、その場に崩れ落ちるように膝が折れる。
慌てて手を差し出せばそれに導かれるように小さな頭が胸の中に沈みこむ。

「ダレンっ!?」
「・・・・あんたの説教は・・・・・明日聞くから・・・・・・」
「どうした!!」

返事のかわりに聞こえたのは、規則正しい寝息。

「こんな所で寝るな!」
「・・・・・・すぅ・・・すぅ・・・・」

怒鳴っても相手は既に夢の中。
それは届くこともなく。
ただの独り言にしかならなかった。

「まったく・・・・・・・・」

不肖の弟子をこんな野外にほっぽり出しておくわけにもいかない。
仕方なしに小さな体を背負う。
軽く揺さぶってやるが、背中のそれは目を覚ます気配すら感じさせない。

「・・・・・明日はみっちり説教してやるからな」

背中でほんの少し、体が揺れたように感じた。


「おやすみ・・・・・」

ふと空を見上げれば数え切れないほどの星が煌く。
まるでこの子の前途を祝すかのように、きらきらと輝く。









Zzz ⇒ おやすみ の意。

心配性のクレプスリー。思い込みが激しい。

マイペースダレン。思いの外クレプのことを慕ってる。

二人はのんびりのほほんとやってくれたらいいんだよ。

血は飲まないけどクレプのことは信じてるって萌ゆる。

なんだその絶対の信頼感ww

2009/11/15





※こちらの背景は ミントblue/あおい 様 よりお借りしています。




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