Night in, night out



夜が来るたび、私は窓を開けて貴方を待つ。
今日来るかもしれない。
今日こそは来るかもしれない。
そう、祈るように。
願うように。
窓を開けて貴方を待つ。


思えば、あの時の私はどうかしていたのだと思う。
知らない男、それも血まみれになって『俺はバンパイアだ』なんていう男を信じるなんて。
どうかしていたとしか思えない。

恋に落ちるなんて、どうかしていたのよ。

私と貴方とでは生きる世界が違ったの。
こんな言葉、ただの夢物語だと思ってた。
身分の違いだとか家柄の善し悪しだとか、そんなくだらない理由で恋を諦める人たちに使ってほしくない。
あなた達はいいわ。
だって、同じ人間なんだもの。
総てをかなぐり捨てれば問題なんてないでしょう?
くだらないプライドを、体裁を捨てさえすれば、成就するんだもの。
あなた達は知っているかしら?
本当に生きる世界が違う人達がいることを。
いいえ。
ソレは人ですらないの。
闇に生きる、人の血を飲んで生きるモノ達。
日の光を浴びることも出来ず、夜の月明かりを友に闇に紛れて生きる生き物。

どうして私はそんな貴方と恋に落ちてしまったのかしら。

貴方に興味があったから?
貴方が優しくしてくれたから?
別の世界を垣間見せてくれるから?
私を愛してくれたから?
いいえ。
ちがうわ。
きっとそれは・・・・・・・・


貴方は言った。
一緒に居る時間だけを大切にしよう、と。
離れている時はお互い相手のことを考えないようにしよう、と。

(無理よ・・・・・そんなこと・・・・)

私はいつだって貴方のことばかり考えている。
私は貴方とは違うのだから。
何百年も生きる命を持っていない。
たった、数十年しかない命なの。
貴方の10分の1しか生きられない。
後何度、貴方に逢えるか分からない。
だからこそ貴方のことばかり考えていたいの。

こんな私を、貴方は笑って許してくれるかしら?


夜が来るたび、私は窓を開けて貴方を待つ。
今日来てしまうかもしれない。
今日こそは来てしまうかもしれない。
そうでは無いように、祈るように。
願うように。
窓を開けて貴方を待つ。

貴方に最後の別れを告げる夜が来るのを怯えながら。
ただただ、貴方を待つ。

今日じゃないといい。
まだもう少しだけ貴方と居たい。
あと少しだけ、貴方との思い出に浸っていたい。

神様、どうか御願いします。
少しでいい。
ほんの少しでいい。
別れの夜が来るのを待ってください。

貴方が来るのを待つ。
貴方が来ないのを待つ。

ただただ、私は待ち続ける。









Night in, night out ⇒ 来る夜も来る夜も の意。

リズ!

ガブナーを待つ彼女はいつも不安にさいなまれながら生きていたんかな。

何時逢えなくなるか、別れが来るのかわからない不安と戦いながら

それでもガブナーを待ち続けるとか。

ほんといい女すぎる。

2009/10/07





※こちらの背景は ミントblue/あおい 様 よりお借りしています。




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