「お前、好きでもない奴抱けると思うか?」

唐突にスティーブが言う。
そう、あまりにも唐突だ。
ていうか今までそんな話していなかっただろう。
お前の頭の中はどんな脈絡をしているんだ。

「は?」
「『は?』じゃねぇよ。聞いてるのはこっち」
「なんなんだよ?」
「だから、お前は気持ちがなくても勃つのかって聞いてんの」
「ぶっちゃけすぎ・・・・・・お前もう少しオブラートに包んで物言えないのか?」
「そんなもん俺には必要ねぇの。いいから答えろって」
「・・・・ったく・・・・・・」

全く、いつになったらこの俺様気質が落ち着くんだろう。
見た目はさておき僕らの中身は既に30を過ぎている。
もう少し回りのことを考えられるようになって欲しいもんだ。
とは言ってもこうなったらてこでも我を通すのがスティーブ・レナードという男。
仕方がないから先ほどの質問について考える。
結論は考えるまでもなく簡単に出てしまう。

「・・・・・・・・・無理。気持ち有りき」

当然といっちゃぁ当然だ。

「大体、どうして好きでもない相手を抱かなくちゃいけないんだよ」

前提がおかしいだろ。それ。

「突然ムラムラして、とか」
「無い無い」

悪いけどソコまで盛ってない。
そういう精神的なものに関係することは、バンパイアの年齢ではなく人間の年齢に比例するようだ。
・・・・・・30歳ならまだまだ現役でもおかしくないのかも知れないけど・・・・・・・。
少なくとも女性との接点が極端に少ない僕の生活においてソッチ方面は完全に枯れてしまっていると言っても過言ではない。
悲しいことでは有るけれど、現実だから仕方が無い。

「嫌がらせで、とか」
「嫌がらせ、って・・・・・・自分が負うリスクの方が多いだろ?」
「バンパイアもバンパニーズも妊娠しねーじゃん」
「ばっか。セックスのリスクは何も妊娠だけじゃないんだよ」
「・・・・・そうなん・・・・?」
「そうなの。少しは知識付けとかないと後で痛い目を見るのは自分だぞ?スティーブ」
「・・・・俺の場合は大丈夫じゃねぇ?」
「どこから来るんだよその自信は」

ここまで来ると少しくらいその自信を分けてもらいたくなる。
そうすれば無くした性欲の一つも取り戻せるのかもしれない。
別段今更取り戻したいとも思わないが。

「ていうかお前枯れてんなぁ〜」
「余計なお世話」

バンパイアになってからというもの性欲よりも食欲とか戦闘欲のほうが勝ってるんだ。
んなものに現を抜かしている暇なんてありゃしない。

「見た目ティーンエイジャーのくせして」
「ところがどっこい、蓋を開けてみれば30過ぎのおっさんまっしぐらだ」
「お前がおっさんなら俺もおっさんかよ」
「ま、同い年だしね」
「ひっでー。俺ぴちぴちの20代前半の心持なのに」
「30だろうが20だろうが大差ないだろ」
「いーや、有りまくりだね」

500年も600年も生きるバンパイアにとって10年の違いが何だというのだ。
微々たる差でしかないだろう。
ところで。
今の今まで先送りにしていた問題を、問う。

「・・・・・・あの、さ。スティーブ・・・・・」
「ん?」
「お前、なんで僕の布団に入ろうとしてるわけ?」

今まさに布団の端っこを持ち上げて身を滑り込ませようとしているスティーブが一瞬動きを止めた。
それこそ、何を今更って顔をしやがる。
お前、どこまで俺様気質なんだよ。
ていうかそれ以前になんでお前が僕の部屋にいるかな?
どこからこの家に入り込んだのかな?
聞きたいことは山ほどあるけど、答えを聞きたくないと思う部分も有る。

どうせろくでもない回答が返ってくるのはわかりきっていたからだ。

「なんで・・・・・って」

きょとんとした表情のスティーブ。
あぁ、やっぱり。
ろくでもないことをさも当然のように考えている時の顔だ。
いやだいやだ。
続きなんて聞きたくない。
でも聞かないとどうしようもない。
なんだって僕がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。

「俺がぴちぴちの20代で、もてあました性欲を発散しようと思って☆」
「やっぱりろくでもなかった!」
「大丈夫大丈夫。無理矢理なんてしねーから」
「・・・は・・・?」
「気持ち無くちゃ勃たないんだろ?」
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・・」

・・・・・とてつもなく嫌な予感がする・・・・・・
多分それは予感だけじゃない。
今までこいつと過ごしてきたことによって培われた経験則。

「なら、勃ったら俺が好きってことだよな?」

ほら見たことか。
やっぱりろくでもない。
その上どうしようもない。
どうしてこの男は昔っから早とちりばかりするんだ。
お前の回答は曲解過ぎる。
僕が言ったのは十分条件であって必要条件じゃない。
その辺わかっているのか?

・・・・・わかっていないんだろうな・・・・・・絶対・・・・・・・



◇◆◇



それからさも当然のように布団に潜り込み。
これまたさも当然のように僕の服を脱がしにかかる。
僕だってただ黙って脱がされるに任せたわけじゃない。
抵抗はしたけれど、拒否しようとしたけれど、スティーブの方が一枚も二枚も上手だっただけだ。
手をつっぱって胸を押しても手首を捕まれシーツに縫い付けられてしまう。
キスを迫られ首を背ければ、あろうことか首筋を甘咬みされた。
ぞくぞくっと、背筋を何かが走っていく。
それをどう勘違いしたのか、スティーブは気を良くして執拗に首に舌を這わせて来る。

「やめろよっ!」
「なんで?」
「なんでって・・・・・」
「じゃ、やめてやるからキスさせろよ」

じゃ、ってなんだ!じゃ、って。
ソレが妥協案だとでも言うのか!
なんでもクソもないだろう。やめて欲しいからやめろって言ってるんだよ。
何が楽しくってお前に首を舐められにゃならんのだ。
あまつさえキスだと?
僕を何だと思ってるんだ。

「性欲溜まっているなら風俗にでも行って来いよ」
「無理無理。ウチ家計が逼迫してるからそんなところ行ったらガネン泣いちゃうし」
「・・・・ガネンっ・・・・!」

バンパニーズのお財布事情など知ったことではないが、ことガネンに関しては他人事とは思えない。
あの人もこいつに振り回されてるもんなぁ・・・・。
心中を察して涙が零れそうになる。

「それに俺も好きな奴とじゃねーと勃たないし」
「何言って・・・・・・・・っ・・・・!?!?!?」
「な?」
「!?!?あqwせdrftgyふじこl!?!?」

押し付けられた身体、というか下半身はもう、そりゃぁ見事に元気なわけで。
僕は声にならない絶叫を上げた。
なんで?なんでそうなっちゃうわけ?
お前のムスコどうしちゃったんだよ!?

「つー訳で一発ヤらせろや」
「なんでそうなるの!?」
「お前のこともちゃんと気持ちよくしてやるから」
「そーゆーことじゃなく・・・・・っ・・・・!!」

はっと気がつけば片方の手は解放されていた。
とすれば必然的にスティーブの手も片方空く。
僕がパニックでばたばたしている最中にその一方の手がシャツの下から侵入し、胸の辺りを弄りだした。
ふいに、カリッと擦りあげられる。
電気が走ったような、びりりと痺れる感覚が足先に抜けていった。

「あっ!・・・・・や・・・・っ!!」
「ココ、気持ちイイ?」
「・・・っちが・・・・・ん・・・・っ・・・」
「じゃぁコッチ?」

今度は反対側の突起を指で摘ままれ、クニクニとこね回される。
先ほどとは少しだけ感覚が違う。
その変化にスティーブも聡く気がついたようだ。

「ちょっと硬くなったな。本当は良かった?」
「ばかっ!そんなわけ」

反射的に叫ぶ。
でも言葉とは裏腹に心臓はドキドキしっぱなしで顔も紅潮していくのがわかる。
背中を駆け抜けるゾクゾクとした甘い痺れは、少なからず快感を伴うものだと自覚せざるを得ない。
羞恥心がこみ上げる。
どう考えたっておかしい。
こんな風に感じることなんて、ずっと無かったのに・・・・

「・・・・なんでこんなことするんだよ・・・・・」

嫌がらせか?
そうなら性質が悪すぎる。
今すぐにでも止めて欲しい。
蚊の鳴くような小さな声で告げる。
一方の腕は相変わらず捕まれたままで、スティーブとの距離を取ることは出来なかったから、僕は出来る限り顔を背けた。
こんなことをするスティーブを見たくなかったし。
こんな風になっている自分を見られたくなかった。
まさかお前に触られて気持ち良かっただなんて、死んでも言えない。言いたくない。

「ばか」

僕の耳たぶを、咬む。
囁くように
吐息を吐くように
そっと、耳元で

「お前が好きだからに決まってんだろ」
「・・っ!」

甘い声を漏らす。
その声に僕はびくりと体を震わせた。
頭を芯から犯す、甘く甘い淫らな感情。
首筋に添えられた手はどこまでも優しく。
危うく漏れ出そうになる快楽の声を必死に堪えているこちらをよそに、スティーブは行為を続ける。
耳に触れる生暖かく湿った感触。
聴覚を司る部分だけに艶かしい音が克明に脳に響く。
ぴちゃぴちゃと、まるでネコがミルクを舐めるような水音。
耳朶を外周にそって、舌を這わせる。
続いて舌先が耳介の内側へ。
熱い息遣いに混じって「好きだ」と、何度も、何度も繰り返す。
その度に僕は唇を噛み締め、手を口元に押し当て、無理矢理にやり込める。
スティーブもそれをわかっていて執拗に攻め立てる。

「やだ・・・っ・・・スティ・・・ブ・・・」
「止めてやんない」
「!・・そ・・・んな・・・っ!」
「だって、お前嫌がってないし」
「な・・・っ!?」

中心に熱が集まるような、そんな錯覚。
いや、錯覚などではなく、事実だ。
声は抑えられても、感覚までは抑えられない。

「ほら、こっちも」
「ぁ・・・・ひゃぁっ!!」

布越しにやんわりと握りこまれた昂ぶりから伝わるのは、これまでの比ではない快感。
声を抑えることもできずに嬌声を上げた。
ゆるく上下に擦りあげられ昂ぶりは徐々にその形を露わにしていく。

「あっ・・・・・は・・・・・ぁ・・・ぁ・・・・っん・・・・・」
「な、ダレン?気持ちイイ?」
「・・・やっ・・・・わかんな・・・・・んんっ!」
「・・・・・お前ってホント嘘吐き」
「ひゃぁっっ!・・・・あ・・・・あっ、ぅ・・・ん・・・・」

先端を爪の先が引っ掻く。
与えられた痛みすらも最早痛いだなんて感じない。

「ココ、こんなに大きくしといてわかんないわけないだろ?」
「だ・・・・・・って・・・・・」
「『好きな相手じゃないと勃たない』」
「・・・・・・ぅ・・ぁっ・・・・ん」
「そう言ったのはお前だよな?」
「そう・・・・・・、だけど・・・・・」
「ならお前は俺が好きってことだ」

だから、それは曲解過ぎるって否定しようとしたけれど。
自分の体に聴けば、どうして否定できるだろうか。
胸を触られて、耳元で囁かれたくらいで反応している体を誤魔化す術も無い。

「気持ち成立って事で」

仰向けに転がされた僕に跨る形でスティーブが陣取る。
背けようとした顔は容易く阻止され、真っ直ぐに上を、つまりはスティーブの方に固定された。
イヤイヤ、と細かく首を振ってもほとんど抵抗になんてならなくて。
唇が、重ねられる。
初めはちゅ、と触れるだけの。
それから角度を変えて何度も何度も。

「ん・・・・ぁはっ・・・・・あ・・ふ・・・・」

次第に激しさを増す口付けは、それこそ窒息してしまいそうなほど気持ちが良くて。
この気持ちの良さは、きっと『好き』ということ。僕の本音。
口唇を割って侵入してくる舌を拒否することも無く、受け入れる。
キスの合間の僅かな時間でしか酸素は肺に入ってこない。
酸欠の脳内は徐々に理性を失っていく。

「スティ・・・・ブ・・・・・ん・・・・・ふ・・・ぅ・・・」
「・・ダレン・・・んっ・・・・・」

答えるように舌が絡み合い、くちゅり音を立てる。
ほんの少しの刺激が脳に伝わる間に拡張増大して、堪らないほどのものとなる。
荒い息遣いがどれだけ相手を求めているか再認識させられる。
ようやく舌が引き抜かれた。
離れがたさを物語るように、銀糸が一本。
まだくらくらする頭にぼぉっとする。
上下する肺がしきりに酸素を取り込もうとするがまだ足りない。

「・・・・・・直に触るぞ」
「・・え・・・・・・?」

酸欠のためか、言われても理解をするのに時間がかかった。
ようやくどういう意味かわかったときには既に下はずり下げられて。

「やっ!やっ、・・・あぁ・・・んっっ!!」

布越しではなく、直に触られた己の熱を攻め立てられる。

「・・・すげ・・・・もうトロトロになってる・・・・」
「い・・・・・うなっ・・・・!」
「・・・・・お前ってもしかして・・・・」

言葉攻めに弱い?

「っ・・・・・・っ!!」

声にならない悲鳴を上げて喉が跳ねる。
反応にスティーブはにやりとした笑みを一つ。

「そうか。いいこと知った」
「ちがうっ!!」

ムキになって否定すれば、真実だと認めているようなものだと、そんな単純なことにも思考はついていかない。
片手は僕のものを弄りながら、首筋をきつく吸われた。
チリ、と焼け付くような一瞬の痛み。
逃れようとしてはみるが中途半端に脱がされた服が邪魔をする。
それに、甘い快楽を知った四肢に力が入らない。
押しのけるつもりの両腕は、ただスティーブにしがみ付くだけのものとなんら変わりは無かった。

これは俺がお前を好きだっていう証。
お前のココ、真っ赤になってすっげぇ美味そう。
ほらまた濡れてきた。本当はこうされたいと思ってた?
聞こえるか?グチュグチュいってるの。
いやいや言ってるけど本当はイイんだろ?
そうじゃなきゃこんなに興奮できないもんな。
あーやばい。その睨む顔すげーゾクゾクする。
めちゃくちゃにしてやりてぇ・・・・。
・・・・・自分から腰動かしちゃって、やらしーの。
そんなに気持ちイイ?イきそう?
お前がイクところちゃぁんと見ててやるからな。

繰り返し、繰り返し、甘い声が脳髄に響き、下半身を刺激する。
時に激しく、時に優しく擦り上げられ、いつ果ててもおかしくない状態だった。
なのにスティーブは絶妙の、僕にとっては最低のタイミングでその手を止めてしまう。

「す・・・・ティ、ぶ・・・・・・も・・・やめ・・・て」

イかせて欲しい。
これ以上はダメだ。
これ以上こんなことを続けたら・・・・

「・・・・も・・・・・おかしくなりそ・・・・」
「おかしくなれよ」

耳元で小さく、それでもはっきりと、囁く。
今度は途中で止まられること無く、快感は一気に高みに上り詰める。

「ぅあっ・・・あっ・・あぁっ・・!!」
「その声・・・たまんねぇ・・・・」
「あっ、アっ・・・・・イ・・く・・・・」
「いいぜ。イけよ」
「アァあッっっ!!!!」

スティーブの言葉とほとんど同時に、吐き出された白い白濁。
下肢は痙攣し、ぴくぴく小刻みに揺れた。
途方も無い虚脱感。
全身じっとりと汗ばんでいて、やっとのことで訪れた解放に肩で息をする。

「それじゃあ本番な」
「え?」

力無く投げ出された下肢を割り開き、ぐいと足が胸につきそうなほど折り曲げられた。
それまで前を弄っていた手を、そのまま後ろに這わせる。
お尻の割れ目を指で辿るようになぞる様に。
ぬるりとした感触が幾分不快感を和らげてくれたのだが、それの正体が自分のモノだと気がつくと思わず唇を噛む。
つ、と。
指が止まる。
くるくると縁で何度か円を描き、指の腹を浅い部分で抜き差し。
くちゅくちゅ卑猥な音を立てる。
ようやく入り口が柔らかさを有しだした時、何の躊躇も無く指を奥深くまで突き立てられた。

「っぁあぁっぅっ!?!?」

体を串刺しにされたかのような激しい痛み。そして異物感。
いくら濡れていたって、ほとんど慣らされていない場所に無理矢理ねじ込まれれば当たり前だ。
そんなことお構い無しに二本、三本と指は増えていく。
中でばらばらに指を動かされ、悶絶。
痛みと、こんなところを触られている羞恥心とのせめぎ合い。
そのはずだった。
それだけのはずだった。
なのに。
ある一箇所に指が当たった瞬間、総てを吹っ飛ばすくらいの強い快感が押し寄せる。
治まった筈の熱が、下半身が再び力を取り戻す。

「あぁっっ!!・・・・ソコ・・・っ」
「・・・・・これ?」

同じところをもう一度擦る。
僕は気が狂ったように甲高い声をあげた。

「気持ちイイんだ?」

羞恥心も何もかもかなぐり捨ててがくがく首を縦に振る。
気を良くしたスティーブはソコばかりを重点的に刺激する。
僕の中に理性なんて欠片も残ってはいなかった。

「きもち・・・い・・・・・ん!・・・・もっと・・・・・ぉ!!」

あられもない声が上がる。
自分のものとは思えない声。
スティーブが一瞬動きを止めた。
はっ、と息を呑んで、その後唇を噛むような仕草。

「・・・・・悪ぃ・・・・・ちょっと我慢できねぇわ・・・・・」

手荒く指を引き抜き、代わりに別の熱い熱の塊が押し当てられる。
ソレが一体なんなのか、理性のない僕にだってわかる。

「ひっ・・・!!ぃやぁっっ!?!?!」
「・・・っ・・・・・きっつ・・・・・・」

痛いいたいイタイ
先ほどまでとは比べ物にならない質量が体にねじ込まれる。
受け入れる準備の整っていない僕の内壁が問答無用で押し広げられた。
熱は内部で更に高まりを見せる。
内壁が収縮すれば逆比例するように一回りも二回りも硬く大きく変貌。

「・・っは・・・そんな・・締め付けんな、ばか」
「そん・・・・な、こと・・・・・・いっても・・・・ぅんっ!」

熱が、痛みが、
堪らなく気持ちいい。
体が言うことをきかない。
もっともっと気持ち良くなりたくて、スティーブのことを感じたくて、
勝手に力が入ってしまう。
内壁に感じる形は、すなわちスティーブの形で。
あいつの言葉を借りるなら、転じて僕を好きだという証で。
人に愛されたいと願ったこの男が、人を愛することを知ったということ。
その相手が僕であったことが、何よりも嬉しい。
だから感じたい。
より深く。
より強く。

「・・お・・まえの・・・・・こ・・・と、・・・かんじ・・・たいんだ・・・・」
「っ!・・・・・・だから・・・そーゆーうれしいこと、んぁっ・・・・・言うなよ」
「だ・・・って・・・・あぁんっ!」
「抑え効かなくなるだろ・・・・?」
「ひ、ぁぁっ・・・・!!あ、あ、・・・ぅあっ!!」

言葉通り、抜き差しされるリズムが早くなる。
互いを高め合うように、刷り合せるように繰り返されるピストン運動。
僕はもう「あ、あ、」って喘ぎ声なのか何なのかもわからない声しか上げられなくなっていた。

「・・・お前・・・・のなか、ん・・・・、気持ちよすぎ」
「あっ、あ、す・・・・てぃ、ぶ」
「も・・・・イきそ・・・・・」
「・・・ん・・・・・ぼ・・くも・・・・」

事実を告げると、スティーブは嬉しそうに一つキスを落とし、一旦昂りをぎりぎりまで引き抜く。
そして、一息に奥の奥まで突き上げた。

「あぁぁあっっぁあっ!!」
「・・・っ・・く・・・・!」

熱い精が僕の中に弾けたのと、二人の腹を二度目の白濁が汚したのはほとんど同時だった。



◇◆◇



「・・・・・腰だるい・・・・・」
「悪かったって」
「・・・・・お腹痛い・・・・・」
「だから、悪かったって」
「・・・・・全然悪いと思ってないし・・・・」
「あはは、ばれた?」
「・・・・・・・・」

ふてくされてそっぽを向く僕の横には、幸せそうに破顔したスティーブ。
しつこいくらいにべたべた抱きついてきてちょっと鬱陶しい。

「だってダレンがあんなに乱れるなんて思ってなかったしさー」
「乱れるっていうな!」
「いいもん見れた」
「うるせぇ」

自覚はあるんだ!思い出させるな!
あー嫌だ・・・・・今更だけど恥ずかしい・・・・・
状況に流されると、というかこいつに付き合わされるとろくな事が無い

「さっさと寝ろよっ!」

頭から布団を被って視界を遮断。
部屋から追い出すことはもうとっくに諦めている。
今はとにかく体を休めたい。
はっきり言ってこんなに激しくシたの何年ぶりだろう?
冗談抜きで疲労困憊だ。
・・・・・それも心地いい疲労で、精神が満たされてしまっているから困る。
すると上から不満の声が。

「えー、でも俺まだ聞いてないし」
「・・・・何をだよ・・・・」
「結局お前って俺のこと好きなの?」

今更過ぎるだろ。
順番間違えてるだろ。
どんだけ唯我独尊なわけ?
このバカスティーブ。

「・・・・・・好きでもない奴のために家族も故郷も捨てるとでも思ってるのかよ」

んなもん言われなくても気づけバカ!




必要十分条件
(俺が好きなら僕も好き  僕が好きなら俺も好き)








遅ればせながら、おづさんに捧げたいスティーブ18禁もの。

え・・・・と。

R-18ってこんな感じでいいのかな?

激しく迷走中。

そもそもスダレってこんな感じでいいのか?

わからないから書きたいように書いてみた!

そしたらありえんくらいに長くくどくなった。

ぬーん。

スティーブ出すとどうにも話が暗い方向に向かいがちなので

今回は割と明るくハッピーエンドにしてみたよ。

みんな幸せになったらいいじゃない!

2010/01/28





※こちらの背景は NEO-HIMEISM/雪姫 様 よりお借りしています。




※ウィンドウを閉じる※