〜第1章 第3話〜
どうにか目撃されることも無く病院を抜け出すことに成功した。
あそこで誰かに見られ、通報でもされようものなら一大事だ。
最近の警察とやらは車などという箱に乗って朝から晩までピカピカ赤いランプを光らせ走ってくるからどうにも頂けない。
特にあの甲高い音の品の無さといったらない。
どんなに耳に藁を詰めたところでさえぎることが出来ないから困る。
「どうやら追われるようなこともなさそうだな」
「・・・・・・・・・」
病室を離れてからというもの、少年は一言も口を利かなかった。
今になってようやく自分の決断の重大さに気がついたのだろう。
だがもう遅い。
お前は我が輩の手下なのだ。
「おい。何とか答えたらどうだ?」
「・・・・・・うるさい・・・・・・」
おぉ!末恐ろしい!主人に対して恐れ多くも「うるさい」だと。
なんて躾のなっていないガキだ。
後でこっぴどく叱ってやらねばなるまい。
そう、今じゃない。後で、だ。
「お前に1週間、時間をやろう」
「え?」
「その間にせいぜい別れを済ませて置くんだな」
何事にも準備というものは必要だと万事心得ている。
いっそ、一思いに殺して欲しかった
※こちらの背景は
Sweety/Honey 様
よりお借りしています。